夜明けのシンデレラ(♂)-1
私は、恋をしている。
たぶん――不倫である。
「んっ…はっ…あぁん!」
点けっぱなしのテレビから流れる音声に混じって、堪えきれずに漏れた私の嬌声が響く。
今日は、月曜日。
ヤル気に満ち溢れている獣の日。
「桜子さ…ん!あ、すっごい気持ちいい…っ!」
「ん、んぁっ!もっと…もっと…っ」
「あ、会いたかった…桜子さん…っ!」
キレイな顔を切なく歪め、甘いセリフを囁くオトコ。
――だったら。
「あ、会いに…来ればいい…じゃ、ない…!」
昨日は雨の日曜日。
私は、布団の中でかびが生えるんじゃないかってくらいに腐りまくってたわ。
「ごめ…っ。日曜日、は…奥さんに…付き合わなきゃ…あぁっ!」
――人のアソコに己の息子ブッコミながら、その名を出すなっつーの!
ムカついたから、思いっきり結合部に力入れて締め付けてやる。
「う…ぁっ!すごい…さ、桜子…あ、あぁ!出ちゃう…!」
「んっ、あぁ…ん!い、いいよ…今日は、大丈夫な日だ、からっ!」
――本当は、いつだってこの身体の中で果ててほしいと思ってるんだよ。
狂うほどの快感の行き着く先は、常に私一人であってほしい。
でも。
そんな事は言えない。
「あ、ああぁっ!好きだよ…っ、桜子さん…!」
「ひゃ、あぁっ!す、すごい…のぉっ」
激しくなる腰の打ちつけ。
メーター振り切りそうな快感に、私の膝はガクガクと力が抜けて。
それでも、この猛った肉棒を受け止めるその為に、私は、押し付けられているシンクの縁に必死にしがみついた。
「んぁぁ…ダメっ!お、おかしくなっちゃ…う!」
長い指が、固く尖りきった私の胸の頂をエプロンごしに弄ぶ。
突き抜ける甘い電流。
それだけでもイってしまいそうな浮遊感。
それなのに――…。
「ひっひぐぅっ!んぁ、いやぁ…あぁぁっ!」
彼の空いている左手が、溢れる淫汁にまみれた蕾を引っ掻いて。
反り返る私の身体。
「あぁぁ!すごい…締まるっ…桜子さんっ!イ、イクよっ」
「あぁっ!ん、ぅぁ…あ、あ、私も…っ!」
セックスは『愛の営み』であると誰かが言った。
――否!
セックスは『愛のファイティングゲーム』である。
だから、負けたくないの。
奥さんにじゃない。
この、オトコに。
「さ、桜子さ…ん!いい?はぁ…イクよ、あ、イク、イク…あっうあぁ!!」
「あぁ…っ!わ、私も…イ、イッちゃうっ!あ、あぁぁぁっ!!」
…あぁ、今日も勝負は引き分けだ。
いつか、勝つ日が来たならその時は、私だけを見てほしいって言えるかな…。