夜明けのシンデレラ(♂)-13
「――お願い、智哉ぁ!もっと、もっと欲しいの。お、奥まで突いて…私を、ぐちゃぐちゃにして…!」
――ズ…チュリ…
「あ、んぁぁぁ…!」
更に奥まで突き入れられて、頭が真っ白になる。
空っぽな空間が、満たされていく感覚。
…でも、足りない。
もっと、もっと。
私の中を智哉で満たして。
「――動くよ、桜子さん」
「あっ、あ、はぁぁ…ん!と、智哉ぁ…すごい、すごいの!壊れちゃ…ん、ぁぁっ!」
涙で滲む視界の中、窓ガラスに映る私が淫らに揺れてる。
全く力の抜けてしまった膝は折れ、そんな私を支えているのは、腰を抱える智也の右腕と胸を揉みしだく左手。
そして、卑猥な水音を更に増しながら、熱い淫汁を撒き散らし繋がる『結合部』だけだ。
『誰かに見られてるかもしれない』
恐怖さえ感じたその羞恥な現実が、今は私たち2人を遥かな高みへ連れていこうとしている。
「うぁ…桜子さんの中、気持ちいいよ。――あぁ、俺、もう…!」
耳元に、苦しげに喘ぐ智哉の声。
弾ける瞬間に向かって、昇りつめていく快感に身を震わせている。
「ん、ふぅ、んぁ…あぁ、いやぁ…わ、私も…イっちゃいそ…!」
打ちつけられる腰の動きの激しさに、たまらず吐息で曇った窓ガラスに両手をつけば、手形の縁をなぞって静かに水滴が流れ落ちていった。
「さ、桜子さ…ん。あぁ、で、出るっ!うぁ…あっ、イク、イク…あぁぁっ!」
「はぁっ、はぁっ…あぁっ…ん…と、智哉ぁぁ!――あっ、あぁぁぁーっ!」
身体の奥深くに、智哉の温もりが広がる。
満たされていく安心感。
…許されない想いを抱えながら、刹那の幸せを求める私たち。
「――ごめん、桜子さん」
「えっ…?」
名残惜しさを隠せないまま、火照りの止まない身体を智哉から引き離した時だった。
振り向けば、智哉が苦しそうに私を見つめている。
「何?どうした…」
「今日は、帰る」
(―――えっ!?)
「…どうして!?そんな、急に…」
呆然と問いかける私に、背を向けて服を着る智哉からの返事は…なかった。
「智哉っ!?」
「――桜子さん」
フワリと、裸の身体に毛布が巻かれる。
「愛してる」
切なくて、淋しい。
初めて見る、そんな智哉の表情だった。
そして。
――キィ…バタン
凍り付いたようにその場から動けずにいる私の目の前で、玄関の扉が静かに…閉まった。