それぞれの行き着く場所-4
ひどい時などは、他の従業員もたくさん休憩している社員食堂で、胸や尻を触ったりスカートの中にまで手を入れようとするのだ。
皮肉なことに、一番憎むべき男である川瀬の存在が、他の多くの男たちからあいりを守る役割を果たしていたらしい。
川瀬がいなくなったことで、これから自分にふりかかってくるであろう数々の災難を想像し、あいりは目の前が真っ暗になるような気がした。
「ハァ……ハァ……アイツが死んで寂しいんだろ―――?」
坂田はあいりの首筋にぬるついた唇を押し当てながら、ブラウスを下着ごと強引に捲り上げてきた。
「……今日から俺が慰めてやるよ」
ビビッ!と糸の引きちぎれる音がしてボタンが弾け飛び、白い乳房があらわになった。
「い……イやッ!」
「ハァ…ハァ…相変わらず……エロい身体してるな……AVに出りゃ相当金になるぜ?マジでやってみねぇか?」
ゾッとするような台詞を吐きながら、坂田の湿った唇があいりの乳首に素早く吸いついた。
チュウッチュウッという卑猥な音とともに、甘い刺激が全身を切なく駆け巡る。
「あっ……いっ……い……いやっ……」
「感じてんだろ?……もっとイイ声出せよ……この前は喜んでたじゃん……」
「……や…やめてぇっ……あぁっ……」
目隠しされ、無数の手にまさぐられながら激しくイき悶えてしまったあの夜の屈辱感が、あいりの脳裏にまざまざと蘇る。
「あの時のビデオが残ってりゃきっといい金になったのに……坂田会の動画が全部入ったパソコンは、忌々しいことにあいつと一緒に海の底に沈んじまったんだよ」
坂田の指が太股を撫で上げ、あいりの濡れた割れ目に到達する。
無神経なイメージとは裏腹の、妙に器用な手つきで、クリトリスの包皮を剥いて敏感な部分に愛液を塗りつけてくる指先。
「いゃっ……ああっ……」
ビリビリと電流が走るような快感に、自然と力が抜けて脚が広がってしまう。
「……あいつに調教されたら、もう普通じゃ満足出来ないだろ……」
坂田はポケットから何やらおもちゃのようなものを取り出し、ニヤリと笑った。
「話のネタにシャレで買ったんだけど、こんなとこで役に立つとはな……」
よく見ると、それはキーホルダーのチェーンがついた超小型の電マであった。
十センチにも満たない小さなものだが、形は電マそのもので、先端部にはイボのようなアタッチメントまでついている。
坂田はそれをあいりの剥き出しのクリトリスに押しあてながらスイッチを入れた。
ビィ――ンという甲高い音が響き渡る。
「あっ!……あぁっ!だ…ダメえっ………」
予想を上回る強烈な刺激に、あいりは我を忘れて大きな悲鳴を上げた。
濡れて感度が高まったクリトリスを、小さな電マが暴力的に弾き上げる。
抗いようのない強制的な快楽が、あいりの敏感な部分を激しく攻め立てた。
「……やっ……あぁっ!……やめてぇ……っ……」
「なぁ……坂田会に来いよ。…今度……三田村も呼ぶ予定だからさ……」
「……え……えっ……」
その名前に今まで何度も騙され、裏切られてきたというのに、それでも尚そんな嘘臭い誘いにすがりそうになってしまう自分が情けない。
「―――今度は本当に三田村とやろうぜ……前よりもっと楽しいゲームを……」
坂田は思わせ振りな口調で言いながら、電マを更に押し付けてきた。
その小刻みな振動は、あの日三田村が操作していたバイブレーターを思い出させる。
「この前よりもっとすげぇクスリが手に入ったんだ……男も女も、感度が前の何倍にもなるヤツだ………試したいだろ?」
「……な…何倍にも……」
「………ククッ……想像だけでもう溢れてきてんじゃん」
坂田に指摘された通り、その状況にいる三田村と自分の姿を思い描くだけで、激しく胸が高鳴り、新たな愛液が大量に溢れ出してくるのがわかった。
「ホントにやらしい女だな……あいりちゃんは……」
坂田は電マの出力を更に上げながら、とろけた割れ目に中指をズブッと挿入してきた。
「あっ……あぁん……っ…」
川瀬が死んでから異性に触れられていなかったその部分は、興奮のあまり充血して、坂田の指をぐいぐいと絞め付けてしまう。
「あぁ……やっぱすっげぇな……あいりちゃんの中……」
坂田はうっとりとした声を出しながら中の手触りを味わうように、ゆっくりとピストンを開始した。