それぞれの行き着く場所-13
根元を唇でキュッと挟むようにくわえられ、触れるか触れないかの軽いタッチで亀頭の先端をチロチロと舌が這う。
優しく焦らすような刺激に、感覚を失ったように無反応だった肉竿が、一気に本来の敏感さを取り戻すのがわかった。
「……あぁっ……うぅっ……………」
少し硬さがよみがえったところで、今度は陰嚢を口に含まれる。
軽く吸われて舌で転がされると、あまりの心地よさにため息が漏れた。
「ハァッ……あいりちゃん………」
上目づかいで三田村の反応を確かめながら、陰嚢を優しく揉み、裏筋を舐め上げてくるあいり。
会社で顔を合わすだけの関係では、決して見ることのできない卑猥なその表情に、異様なほど興奮してしまう。
過去に経験したどんな女性よりも熟達したテクニック。
自分が攻めていた時はほとんど感じなかった川瀬の存在が、こうして愛撫される側になると生々しく浮かび上がってくる。
薄暗いバックルームで縛りあげられ、辰巳と川瀬に二人ががりで犯されていた姿が、ありありと頭に浮かんだ。
「なぁ……っ……もう挿れさして……」
このままだと挿入する前に射精してしまいそうだ。
硬さを取り戻したぺニスをあいりの口からそっと抜き取り、身体を抱き寄せる。
すべすべとした白い素肌。
胸板にあたる柔らかな乳房の感触。
全身の神経を研ぎ澄ませながら、三田村はゆっくりとあいりの身体をベッドに押し倒した。
両足を持ち上げ、柔らかな沼地に硬いモノをあてがう。
先端に感じる熱が、圧倒的な引力で三田村を中へと誘(いざな)った。
『……いや……アカン……』
そのまま突き入れたいという欲望を必死で振り切って、床に投げ出したシャツのポケットからコンドームを引っ張り出す。
本音を言えば、あいりとはこのまま繋がりたい。
隔てるものが何もない状態で、お互いをしっかりと感じ合いたかったし、そうするべき運命であるような気さえする。
こんな切実な感情は、慶子に対しても一度も抱いたことはない。
しかし、今はこれ以上軽率な行動を重ねるわけにはいかなかった。
「……つけないで……」
不意にあいりが、ゴムを持つ三田村の手を押さえた。
「あの………外に……出してもらったら……私…大丈夫だから……」
「……でも……」
「主任にも……辰巳くんたちにも……いつもそうされてて……ずっと……大丈夫だったの……だから………」
顔を赤らめて懇願するあいり。
『ああ……俺は……あいりちゃんに……なんてことを言わせてんねん……』
三田村は激しい罪悪感を感じながら、あいりの身体を強く抱きしめた。
「……ほんまに……ゴメン……俺も…ほんまはそうしたいけど……でも……アカンねん……」
今まで、ゴムをつけるということは女性を守ってあげることだと思っていた。
しかし、今だけはゴムをつけることで、自分自身が無責任でズルい男になってしまうような気がした。