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「超合体浪花ロボ・ツウテンカイザー」
【コメディ その他小説】

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「超合体浪速ロボ・ツウテンカイザーU〜オゲラ〜」-6

 そこには謎の子供が二人、肌を透過する薄い衣を纏って立っていた。髪の毛はなく、眉毛も薄いので性別は判然としないが、衣がまとわりついて胸元が膨らんでいるところを見ると二人とも少女であるらしい。勿論、火星人に性別があればの話ではあるが。
『カオール(こんにちは)、火星の地球の人類の皆さん…。るー…るー…』
 謎の美少女達は、少しのズレもなく言葉を唱和させる。
『あなた方の…、文明は…るー…、とても未成熟。抵抗は無意味…、です。だから、抵抗しなさい……るーるー』
 美少女達の言葉に首を傾げる十文字博士。
「抵抗は無意味で抵抗しろって、一体どう言う事だ??」
『抵抗することは、器を作ること…。淘汰することは、器を作ること…。るー…』
 翻訳がおかしいのか、美少女達の言葉はまるで理解不能であった。そこで十文字博士は、マイクを掴むと二人に質問をぶつけてみた。
「お前達は、地球人に器を作らせる為に攻撃を仕掛けてくるのか?先住権を主張するとか、侵入者を追い出すとか、そう言うことではないのか?」
 十文字博士の質問に、美少女達は顔を見合わせた。
『私達は攻撃をしない…。全ては火星マスターの意思…。るー…』
「火星マスターだと?すると、その火星マスターとやらが、我々に攻撃を仕掛けて、その器を作らせようとしているのか?」
『全ては火星マスターの為…るー…るー…』
「火星マスターとは一体何者だっ!?」
 噛み合わない会話に、苛立ちを感じる十文字博士。しかし、二人の美少女は無機質な瞳を向けるばかりで、その感情は伺い知れない。そして、通信が入ったときと同様、唐突に切られる通信。
「くそ、あいつら、一体何の為に話しかけてきよったんやっ!!」
 腹立ち紛れにマイクを投げ出す十文字博士。その時、ツウテンカイザーの通信から悲鳴が聞こえた。
「うわっ!!なんや、オゲラが急に動き出しよったっ!?」
 切迫した声のひよこ。モニターを見ると、ツウテンカイザーがオゲラに殴り倒され、ひっくり返っている。
「もう、ひよこったらボーっとしないでっ!!バーニア出力全開でオゲラに体当たりするわよっ!オゲラが怯んだ隙に、BKO砲を撃ち込んでっ!!」
「了解、恭子。根性入れてかましたる〜っ!!」
『どぉおおりゃ〜〜っ!!』
 咆哮を上げるツウテンカイザー。背中が破裂したかのようなフル出力で、ツウテンカイザーはオゲラに一撃を見舞って天高く舞い上がった。
「覚悟せいよ、オゲラッ!!」
 虚をつかれ戸惑うオゲラに対し、ツウテンカイザーはBKO砲を向けた。プラズマが銃身に迸り、銃口が光り、閃光が溢れ出す。狙い過たず、BKO砲はオゲラを完全に捉えていたのだが、次の瞬間、光の奔流はオゲラの体表にぶつかり、あらぬ方向へと湾曲させた。
「なにぃっ!?」
「きゃぁああっ!?」
 驚きの声を上げるひよこと恭子。間一髪、ツウテンカイザーはBKO砲の直撃を免れたものの、ツウテンカイザーの背後には巨大なクレーターが出来ていた。
「な、なんやの?」
 じっとり汗の額を拭い、ひよこは信じられないといった様子で低く呟いた。そこへ、十文字博士から通信が響く。
「ケイバーライトやっ!!」
「なんやてぇ、あのケイバーライトかいな!?……って、なんや?」
 お約束のボケに、思わず脱力する十文字博士。しかし、そんな下らないボケに付き合っている暇はない。十文字博士は気を取り直して、マイクを握りなおした。
「この火星ドームの地下にも巨大なケイバーライトジェネレーターが存在する。ドームの中の重力を地球と同じにしている特殊な鉱石で、エネルギーを加えることによって重力子を生み出すんや。そいつが流体金属の被膜の下に隠されとったんや…」
「それって、つまり…??」
「重力砲であるBKOは跳ね返される、言うことや」
 苦々しい表情で呟く十文字博士。敵の装備は明らかにツウテンカイザーを意識したものだ。これまでの期間、敵はツウテンカイザーを分析して、その対抗策を練っていたに違いない。
「思ったより、これはえげつないことになりそうやな…」
 オゲラと間合いを計りながら、ひよこは呟いた。無機質なオゲラの複眼が自分を嘲笑っているように見えてどうにも腹が立つ。とは言え、迂闊に飛び込んでいけば敵の思うつぼである。こちらの戦力を分析されている以上、軽はずみな攻撃は死を招く。


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