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「超合体浪花ロボ・ツウテンカイザー」
【コメディ その他小説】

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「超合体浪速ロボ・ツウテンカイザーU〜オゲラ〜」-5

 しかし、その時、まるでタイミングを計ったように警報が鳴り響いた。
「大変ですっ!火星獣が現れましたっ!!タルシスのドーム都市群が突如現れた巨大な火星獣によって攻撃を受けています。画像をメインモニターに回します」
 オペレーターの一人が緊迫した様子でそう告げると、正面にメインモニターが降り、ドームに攻撃を加える巨大火星獣が映し出された。一見すると巨大な甲虫の様なそれは、体表がメッキのようなもので覆われている。巨大な前肢を振りかざし暴れ回るそれは、どこか地球の螻蛄を連想させる。
「ともかく、ツウテンカイザーを出撃させなっ!!」
 火星獣の出現に、ひよこが飛び出そうとするが、その前にスチュワルダが立ちはだかる。
「忠告した筈です。ロボットを出撃させることは許しませんっ!」
「な、何言うてるんやっ!?今はそんな場合やないやろっ!ドームが襲われてるんやで!?」
 ひよこは切羽詰まった様子でそう告げるが、スチュワルダは頑として首を縦には振らなかった。
「ドームは連合防衛軍が守ります。見なさいっ!」
 スチュワルダの言葉に、全員がモニターに目を向ける。見ると、防衛軍の戦闘機や車両が火星獣に群がり、一斉に攻撃を加え始めていた。
「前回の雪辱を果たす為に、防衛軍が投入した新型機です。有機的な敵の生物兵器に対抗する為に、メーサー砲を初め新型の武器を多数搭載しています」
 勝ち誇った様子のスチュワルダだったが、当の防衛軍は見る間に撃破されていく。頼みのメーサー砲も、メッキ処理をしたような表皮に弾かれて火星獣はまるで意に介さなかった。しかも、反射されたメーサー光線が味方の戦闘機を撃墜する始末。
 スチュワルダの顔が蒼白となり、脂汗が滴り落ちる。わなわなと唇が震え、言葉も出ない。
「スチュワルダさん…、このままやと火星獣にタルシスが全滅させられてしまう。そしたら沢山の人が死ぬんや…。もう、うちは我慢出来ひん。なんと言われようと出撃するさかいっ!!」
 そう言って、スチュワルダの横を通り過ぎるひよこ。そしてその後を恭子が続く。しかし、二人が司令室を出ていっても、スチュワルダは最早何も言わなかった。気まずい沈黙が訪れるが、画面の中では防衛軍が無情にも次々と撃破されていく。その様を、沈痛な面もちでスチュワルダは見守った。
 やがて、ツウテンカイザーに搭乗したひよこから通信が入る。
「ツウテンカイザー出撃するさかい、ハッチを開いてっ!」
 ひよこが言うや、ハッチが開き、ツウテンカイザーが咆哮を上げて飛び出していく。
「ひよこ、よう聞けっ!」
 マイクを掴む十文字博士。
「オゲラの体表は流体金属で覆われている。そやさかい光学兵器は跳ね返されるから、ビームとかは使うなっ!それと、流体金属の下には強固な装甲がある。そやからミサイルも効かへん」
「そ、そんな、博士。それならどうやって戦うんですかっ!?」
 恭子は通信を聞いて狼狽えた声を出した。
「通天剣で斬るか、BKO砲で消滅させるしかない。幸いBKOは重力兵器やさかい、跳ね返されへんかも知れん…」
「かもって、どういうことですかぁっ!?」
 悲痛な声を上げる恭子。そこへ、ひよこが困惑した声で十文字博士に質す。
「お父ちゃん、オゲラって何や??」
「オゲラはあの火星獣の呼称や。オケラに似てるからそう名付けた。これからはオゲラと呼ぶように…」
「オ、オゲラって、点々付けただけやんか…」
 呆れた声を漏らすひよこ。
「ひよこ、そんな事よりタルシスのドーム群が見えてきたわよっ!!」
「よっしゃあぁっ!!人に命は尽きるとも、不滅の力、ツウテンカイザーっ!!オゲラ、覚悟しいやっ!!!」
 意気揚々と甲虫型火星獣の眼前に飛来するツウテンカイザー。しかし、奇妙な事に、ツウテンカイザーの姿を見たオゲラはその動きを止めてしまった。
 そして、宇宙チャンネルに何者かの通信が割って入る。それは、ツウテンカイザーのコクピットは勿論、観測センターのメインモニター等、あらゆる回線に侵入してきた。
「な、何これ??」
 モニターに映し出された画像を見て、恭子が驚きの声を上げた。


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