「超合体浪速ロボ・ツウテンカイザーU〜オゲラ〜」-2
「さあ、そちらの女性を解放するんや、皇帝。キャプテン雷蔵が来たからには、お前の悪事もこれまでやっ!!」
油断なく光線銃を構え、じりじりと皇帝に詰め寄るキャプテン。ミンタム皇帝は脂汗をにじませながらも、キャプテンが現れた理由が分からずに首をひねる。
「何故だ、いつの間にこの秘密基地に近づいた?」
ミンタム皇帝の問い掛けに、キャプテン雷蔵は不敵な笑みを浮かべる。
「ふふふ、火星の様子をもう一度映してみたまえ」
言われた皇帝は、慌ててディスプレイを操作し、再び姿を現した火星を見て、あっと驚きの声を上げた。そして、脂汗を滲ませながらキャプテン雷蔵の顔を見る。
「ふふふ、その通り。私は船を衛星ディモスに偽装していたのだよ…。さあ、観念するんや皇帝っ!!」
銃を突きつけられ、後ずさるミンタム皇帝。
「おのれ、キャプテン雷蔵っ!もはや此処まで…。この秘密基地と地獄砲は貴様にくれてやるっ!!しかし、我はまだ貴様に敗北したわけではないぞっ!!」
皇帝がそう言って杖をキャプテンにかざすと、キャプテンの背後のドアが開き、ティンカンマン(缶のようなロボット)が現れた。
「きゃああああああああああああああああああああああああああああああっ!!」
金髪美女の悲鳴。しかし、キャプテンは些かも慌てずに、光線銃でティンカンマンを破壊する。
「さらばじゃっ!我が宿敵キャプテン雷蔵っ!次こそは貴様の命、もらい受けるぞっ!!」
いつの間にか姿を消し、捨てぜりふを残すミンタム皇帝。
「おのれ、ミンタム皇帝。次に会うときこそ、貴様の最期や…」
呟くキャプテン。キャプテンは一瞬遠い目を見せると、囚われの美女のことを思いだし、その鎖を光線銃で溶かし、美女を解放した。
「ありがとうっ!!キャプテン雷蔵っ!!!」
キャプテンにしがみつき、その豊かな巨乳をぐいぐいと押しつける金髪美女。キャプテンはでれりと鼻の下を伸ばすと、調子に乗ってTバックのお尻を撫でさする。
「やっぱ、大きい乳は最高やなぁ…。貧乳のひよこも、もっと大きかったら、少しは可愛げもあるのに…」
オリュンポス山テラフォーミング観測基地。この基地は火星ドーム政府の惑星開発局が設立したものであるが、現在は暫定的に火星凶悪生物緊急対策本部とされている。
前回の火星エイリアン襲来以後、生き残った軍人、科学者がこの基地に集まり、次回の火星エイリアンの襲来に備えているが、外部から見れば十文字博士のロボット基地といったような感じで、個人所有の感は否めない。
現に、テラフォーミング観測基地と掲げられた門扉にはその文字の上から白い紙が貼られ、そこには墨字で「火星凶悪生物緊急対策本部」と書かれ、その下には丸っこい文字で「マーズエイリアン・アタッキング・クルー:通称MAC」と書かれている。勿論、誰が書いたかは一目瞭然であったが、いまさら誰も、特には気にしていない。
ところが、基地の入り口で仁王立ちし、その張り紙を苦々しく睨み付けている美女がいた。輝くばかりのブロンドをなびかせ、窮屈なスーツの中にはち切れんばかりのバストをしまい込んだ謎の美女。
美女はその美貌を台無しにしても怒りに目を吊り上げ、ぐらぐらと頭から気炎を立ち上らせて立っている。
不審に思いながらも、歩哨に立つ兵士。その兵士の見ている前で、美女はやにわにその張り紙をひっぺがし、くしゃくしゃと丸め、怒りにまかせてびりびりと引き裂いた。
「おいこらっ!!貴様、何をするっ!?」
兵士は驚いて美女に歩み寄るが、美女は臆することもなく兵士を睨み付け、鋭い平手打ちを放った。
とてつもなく痛いビンタであったが、兵士は何となく嬉しかった。続けざまに蹴倒され、ハイヒールのかかとでぐいぐいと踏みつけられる兵士。これもまた痛いけど、何故だか嬉しい気もする。
「私は、政府査察官スチュワルダッ!!アポは取ってある筈よっ!この観測基地の実質的な責任者の元に案内しなさいっ!!」