男と女の愛の告白(4)-9
その夜、俺に抱かれながら女は白状したんだ。
男とは別れていないって。
来週になったら男が出てくることを。
そうしたらもう二度と逢えない・・
苦しいけれど、今日で終わりにしたい、と
このまま続けていると俺に迷惑が掛かるから、
今日で止めようって、
泣く泣く俺に言うんだ。
「ほんとうは別れたくないの、でも・・許して」
「俺も別れたくない」
「いつかは、言おうかと思ったけれど、言えなかった、だって・・」
「だって?」
「あたし、今までにこんな楽しく、幸せなことなかったし・・」
「わかった、それで十分だよ、今までありがとう」
そう言うしか、言葉が見つからないんだ。
女が、俺とは違う世界に生きている女だということを思い知らされた。
それで、男にばれないうちに別れたいと。
それは女の為じゃなく、俺の為だと言うんだ。
俺もなんとなく分かっていたけどね。
白状した最後の夜は、俺たちは激しく燃えたんだよ。
女が最後にいった言葉が今でも俺の心に残っているんだ。
「もっと早く貴方と逢って、普通の世界で愛し合いたかった」
「好きだから、別れたいの、わたしたちは別れなければいけないの・・」
そう言って涙を流したんだ。
俺を見つめる眼からは、大粒の涙を流していたんだよ。
俺は、男と対峙してこの女を欲しい、と本当は言いたかった。
命を懸けて・・・と言いたいところだが、
俺にはそんな器量も度胸もなかった。
俺は死ぬほど、その女が好きになっていたのに。
普通の世界の女なら、一緒になっていただろう。
しかし、現実はそんなには甘くないのさ。
その夜は朝までセックスをしていた、悔いがないように。
お互いに腰が立たなくなるほど、したんだよ。
そして俺たちは別れたんだ。
それ以来逢っていないし。女の携帯も通じなくなっていた。
俺は今では、それで良いと思っている。
俺も、女も。
もし、あのままだらだらと続けていたら、
俺は今、生きていないかも知れない、そう思うときがあるのさ。
完