罰ゲーム 後編-1
「―――積極的じゃん。もうちょっと嫌がってくれねぇとつまんねぇんだけど?」
坂田が小馬鹿にしたような口調で言い放った。
目隠しをされたまま、じゅうたんの上にぐったりと横たわるあいりの肉体には、暴力的なアクメの後の強烈な倦怠感が充満していた。
乱暴なセックスで立て続けに何度もイかされたヴァギナの粘膜が、ひりひりと痛む。
しかし、それにも増して「三田村にどうしても抱かれたい」という強烈な欲望が、あいりの中で今はっきりと膨れあがっていた。
こんな罰ゲームのような形で結ばれたところで、何の意味もないことは、あいり自身が一番よくわかっている。
これほどまでに惨めな姿を晒してしまった今、三田村が自分に恋愛感情を持つことなど絶対にないと思う。
しかし―――だからこそ、三田村に抱かれる日は今日しかないのだ。
今この瞬間を逃せば、三田村真吾が自らあいりの肌に触れようとすることは決してないだろう。
一度だけでいい。
三田村と交わったという実感がほしい―――。
その一途な祈りがあいりを支えていた。
「……早く……お…お願い…します……」
「チェッ……つまんねぇなぁ。それじゃ罰ゲームにならねぇじゃん!」
従順すぎるあいりの態度に、坂田は少し苛立ったような口調になっていた。
この残虐な男は、もはや性行為そのものよりも、あいりを虐げ苦しめることに喜びを感じ始めているのだ。
誰もが注目する美貌と知性の持ち主。
学生時代の自分ならば、最初から高嶺の花とあきらめていたようなタイプのこの女を、今の自分は言いなりにすることが出来る。
『――もっとこの女を辱(はずかし)めてやりたい』
その歪んだ欲望が、坂田を更なる異常な行為に走らせていた。
「そんなにして欲しいなら―――おねだりしてもらおうか」
坂田が、あいりの手首をつかんでじゅうたんの上に引っぱり起こした。
「……お…おねだり……?」
言葉の意味を推し量りかねて、一瞬困惑するあいり。
しかし、その疑問を打ち消すおぞましい言葉が、すぐに坂田の口から発せられた。
「だからぁ、オナニーしてみせろっての!」
「……え…えっ……?」
青ざめるあいりを見て坂田の加虐心は大いに満足したらしく、途端に楽しそうな口調になってあいりを煽り立て始めた。
「いいからやれよ!ちゃんとイったらご褒美やるからさ」
「……そ…そんな……」
「ただし!普通にヤってもつまんねぇからこれ使えよ」
そう言いながら無理矢理握らされたものを恐る恐る手探りで確かめると、それはグロテスクな形をしたバイブレーターだった。
男性器を摸した極太の幹にはイボのような無数の凹凸が埋め込まれ、根元から枝分かれしているクリトリス用のバイブレーターには、不気味な触手のような突起がびっしりと群生している。
「……いやっ……!」
卑猥すぎるその形に、あいりは思わず反射的にそれを床に投げつけていた。
「出来ないのか?出来なきゃもっと面白い罰ゲームを考えてやらなきゃな!」
『……どうしよう……どうすればいいの……』
自慰を見られるということは、無理矢理犯されるところを見られるより、はるかに恥ずかしいことのように思える。
しかもこんないやらしい性具で自分を慰めるみっともない姿を、よりによって三田村の前で披露することなど、あいりにはとても出来そうにはなかった。