非線型蒲公英 =Fortsetzung zwei=-3
『きゃああああ!!』
「な、何だ?」
せ、折角、言いかけたのに…。邪魔が入った。
「…香奈先輩と、美咲先輩…ですね」
屋上入り口の上の、やたらと興奮気味な二人組を見つけて、複雑な表情でひよちゃんが言う。
「あいつら…ずっとあそこにいたのか…?」
「…みたいですね」
「まさか、見られてた?」
「…別に、やましい事をしていたわけでは」
「そ、そりゃ、そうだけど」
まあ、ただ話していただけだから、見られても問題は無いだろうが…。
「…何だか、デジャヴ」
妃依は、昨日の夕方の事を思い出していた。何で、いつもいい所で邪魔が入るんだろう…。
「え?」
「…いえ、何でも…ところで、続き、聞かせてください」
昨日は、妃依が聡に言われた台詞だ。
「ええっと…何の事かなぁ…」
正直、さっきの勢いは霧散していた。誤魔化すしかない。
「…『ひよちゃんの事』…の続きです」
ひよちゃんが意地悪く聞いてくる。
「ホント、デジャヴだね…」
冷や汗が出てきた。
「…先輩、何て言おうとしたんですか」
真摯な眼で見つめられる。もう無理です…誤魔化せません…。
「す、き、だって…」
「…」
ひよちゃんは、何も言わずに俺を見ている。
「ひ、ひよちゃん?」
「…嬉しいです」
凄く魅力的な微笑を返してくれる。俺は、恥ずかしくて、何となく目を逸らしてしまう。
「あ…うん…っがぁ!?」
いきなり、幸せの余韻をぶっ飛ばすような衝撃が俺を襲う。
「ぎゃあああああああああああっ!!」
俺は、屋上を凄まじいスピードで転がり、フェンスに激突。しかし、止まることなくフェンスを突き破りそのまま落下。放物線を描き、プールに着水して、俺は気を失った。