仕組まれた王様ゲーム-3
「………んっ……んんっ……」
前後から押さえつけられ抵抗出来ないあいりに、坂田が口移しで何か錠剤のようなものを押し込んできた。
舌の上に不快な異物感を感じ、あいりは反射的にそれを吐き出そうとしたが、坂田にすかさず唇を塞がれ結局強引に飲み込まされてしまった。
「……な…何……?……」
「今のはね……頭がすごくスッキリする薬だから大丈夫……」
不安がるあいりに、坂田がニヤリと意味深な笑いを浮かべて囁いた。
明らかに疑わしいと思いながらも飲み込んでしまったものはどうすることも出来ない。
あいりは自分の身体にこれから起こるであろう未知なる変化を怯えながら待たなければならなくなった。
「あいりちゃんて清純そうなのに、こんなゲームもやってくれるなんて……実は結構エッチなのかなぁ?」
上野がニヤつきながら、あいりの乳首のあたりを小刻みに指先で擦り始めた。
「……あっ…ああっ……」
全身を駆け巡るビリビリと痺れるような感覚に、あっけなく甘い吐息がもれてしまう。
「あいりちゃん……すげぇエロい声が出てるよ……」
上野はひどく興奮してあいりの耳元に荒い息を吐きながら、柔らかな乳房をぐにゃぐにゃと握りつぶすように揉みしだいた。
「……はんっ……あっ……」
嫌悪感とそれを上回る快感が混沌となって、あいりの精神を容赦なく蝕んでいく。
……三田村くん……
早く戻ってきて……。
朦朧とする意識の中で、あいりは三田村の名前を呼んでいた。
王様ゲームが始まってから、あいりに無茶な罰ゲームが極力あたらないよう一生懸命かばってくれていた三田村。
『ここは同期の僕が責任とりますから!』
そう言って、あいりが飲まなければならない酒を代わりに何杯も飲んでくれたぶん、彼は誰よりも酔ってしまっているに違いなかった。
どうして私にそんなに優しくするの……。
冷たくされればそれはそれでつらいのだろうが、今のあいりは三田村に優しくされればされるほど切なさで胸が苦しくなるばかりだった。
一度はあきらめたはずの思いが、あの誠実で優しげな眼差しを見るとあっけなく揺らいでしまう。
こんなふうに他の男に辱めを受けている姿を、三田村だけには見られたくないと思う。
でも一方で三田村にならば、キスをされたり身体に触れられたりしてもかまわないと思っている。
―――いや、むしろ三田村にならば……もっともっと淫らに、我を忘れるほど身体中を攻め立てられたい。
「……ああっ……ううん……」
坂田に唇を吸われ上野に乳房を揉みしだかれながら、倒錯した欲望にだんだんとろけていくあいりの身体。
もし三田村にこんなふうにされたら……どんな感じなのだろう………。
二人にいやらしい行為をされればされるほど、その妄想がだんだん膨らんでしまう。
「坂田会」が危ない飲み会だというのはあいりも何度か噂に聞いたことがある。
それでも今日ここに来たのは、坂田から「三田村も来る」という一言を聞いたからだった。
メンズフロアで三田村と理可のまぐわう姿を覗き見て以来、あいりは三田村という男に深い失望感を感じている。
しかしそれ以上に、「オス」としての三田村を目の当たりにしたことによって、彼に対して押さえきれない強烈な「情欲」が自分の中に新たに湧き起こってしまったことをあいりははっきりと自覚していた。
三田村がどんな男でもかまわない。
あのたくましい腕に抱かれながら、あのヌラヌラと硬くそそり立った桃色の肉塊でこの身を何度も貫かれたい――。
心では否定しているにもかかわらず、本能が三田村という男の肉体を渇望していた。
飲み会とは名ばかりの乱交パーティー。
そこで激しく乱れてお互いの身体をまさぐりあい、深く唇を重ね合わせる三田村と自分の姿―――。
その状況を思い描くだけで、あいりの身体はもう熱くとろけてしまいそうだった。
自分をこんな淫乱な女にしてしまったのは川瀬なのか……三田村なのか……本当の答はあいり自身にもわからない。
しかし、以前のあいりにはなかった性に対する積極的な欲望が、彼女の行動を少しずつ狂わせていることは間違いなかった。