今夜、七星で Yuusuke’s Time <COUNT3>-3
殆ど空に近い冷蔵庫だ。食べたい物だけが先に消え、残っているのは七星で余った果物類や半端に残った食材等々。
「まあ、いいか。適当に」
ネーブルオレンジ、キウイ、ラズベリー、ストロベリー、パイナップル。
どれもこれも適当な量でカクテルに使う様にカッティングされている。
いらないから、と渡された少し日付の経った完熟果実達。それを更に一口大に切る。
そういえば、と冷凍庫に保存しておいたスポンジケーキの端切れを電子レンジで温める。
確か、パティシエ見習いの女の子と寝たのは二月ぐらい前だったような気もする。
名前、何だったっけな。
そんな薄情なことを頭の片隅で考えながら。解凍の間に鍋に卵黄と砂糖を混ぜて火にかける。
牛乳を少しずつ加えれば。とろりと甘いカスタード、だと思う代物。
いや、あんまり詳しくないんだけどね。
千切ったスポンジと果物、カスタードを適当に重ねて冷蔵庫にしまう。
冷やす間に、二切れしかないベーコンと、余った白身と卵一個を混ぜ合わせた白っぽいスクランブルエッグを炒める。塩少々と胡椒を濃い目に振りかけ、スパイシーにして。
メインは乾燥気味のパンだが仕方ない。
深めの皿に卵と牛乳を混ぜ合わせ、両面軽く潜らせる程度にパンを浸す。
フライパンはバターを溶かして香り良く、卵液に浸したパンを入れれば、じゅわじゅわと香ばしく焼ける匂いが室内に充満する。
「んぅ、……ケく、ん?」
匂いにつられたのか、もぞもぞと起き上がる椿さん。低血圧なのかひどく緩慢な動きだ。
「おはよ。起きれる?ご飯出来たから顔洗ってくれば?」
まだ眠気眼の椿さんが、もそり、と起き上がる。まだ頭がはっきりしてないようで、自分が裸で起き上がってることにも気付いていないようだ。
「……う、ん。いいにおい」
ぼんやりだが、覚醒されていく意識。隙だらけってこう言うことを言う。
「いい眺め。早く着替えないと、写メ撮っちゃうよ?」
「………!!!!!」
相当慌てた様子で服を掻き集め、必死に着込む。恥じているのか反論のない様子に笑みが零れた。