トランプ!-2
「時間の指定、いつだっけ」
「待って。・・あと三分ね」
時間と場所を指定してきたのは、闇騎士軍からだ。
12時に、市街地中心の噴水に集合。と・・。
「じゃあ、そろそろか?」
セナがそう言った時、黒い雲が一部分だけ晴れた。
「おぉ・・!」
人々がそれを観て感動する。
綺麗な青い空なんて、見ることは久しぶりだった。
その雲の間から、降りてくる飛行物体。
UFOといっても過言ではない。
今度は、その飛行物体から何人か出てきた。
そして、最後に何人も引き連れてマントを風になびかせながら
軍のトップである青年が現れた。
「随分期待されてるんだね。君たち」
青年が、二人に声をかける。
蒼い目を持つ、綺麗な青年。見るからに繊細そうな身体。
明らかに、闇騎士軍に居られそうな感じがない。
「(・・こんな奴が、トップ?)」
「まぁねー。おかげさまで?」
何も言わないナインの代わりに、皮肉になってない皮肉を相手にぶつけるセナ。
ナインが、後ろで呆れて溜め息をついた。
「ボクも期待してるよ。・・・君たちが絶望に打ちのめされ朽ち果てていく姿を見るのを・・」
「・・・っ」
「(・・前言撤回だわ・・。こんな奴だからなれるんだ、トップに)」
妖しい、というより不気味な笑顔で言葉を放った青年に、
セナはもちろん、ナインでさえも身を強ばらせた。
「じゃあ、ルールを決めようか」
普通の笑顔に戻った青年は、二人に歩み寄る
セナはナインを庇う。
「そんなに怖がらなくていいよ。何もしない。・・それより、どちらがリーダー?」
青年は両手を広げ、武器を持っていないことと傷つける意思が無い事を示した。
その様子を注意深く見ていたナインはセナの腕をするりと抜けた。
「ナイン!」
「大丈夫。セナは、そこで待ってて」
振り返ったナインは立ち止まることはしなかったが、代わりに安心させるように微笑んだ。
その微笑みに弱いセナは、何かを言おうとして、やめた。
「いいのに。彼も来てもらって。」
「遠慮しとく。そこに居てもらえればこっちの会話も聞こえるだろうしね」
「随分信頼しているんだね」
優しく微笑んだ青年に、今だ隙を見せないようにするナイン。
2チームのリーダーが向かい合った。
「ルールは世界大会と同じルールでいいかな?」
「そしたら試合は一日3試合の9日間ということ?」
世界大会は、予選も合わせて9日間行われることになっている。
「そうだね。そうだ、こっちは人数の有利があるから一度試合に出た人間は使わない事にしとくね」
「えぇ。そうしてもらえると助かる。」
ナイン達は二人しか居ないのにも関わらず、闇騎士軍はかなりの人数の差がある。
それでは、こちらが持たない。
「それと、ゲームを長く楽しみたいし君たちも休養をしたいだろうから、
2日間試合を行なったら休み、というのはどう?」
「・・いいわ。」
ナインは、その提案に心の中で安堵した。
理由は何であれ、少しでも無茶をするセナを休ませる日が欲しかった。