ナオキ・28歳の場合-1
「っ・・・つぁ〜〜〜・・・」
ガンガンに痛む頭を押さえながら、ナオキはベッドに起き上がった。
昨日は、飲みすぎたなあ〜〜・・・。
昨日・・・どうしたんだっけ。
寝起きの頭で考える。
・・・ああ、そういえば。
昨日は10年ぶりの、高校の同窓会だったんだ。
ナオキは、28歳。
大学を卒業してすぐに、大学の同級生だった、めぐみと結婚した。
子供は、まだない。若い二人だから、自然に出来るのに任せようということで。
不妊治療をしようという話はまだ持ち上がっていなかった。
「水・・・」
ナオキは、水を飲もうと立ち上がった。
っていうか・・・ココはどこだ?
見慣れない部屋。
どこかのビジネスホテルのようだ。
冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出して飲む。
少しすっきりして、息をつく。
でも、どうしてビジネスホテルなんかに・・・?
電車で帰れるような近場で行われた同窓会。
もちろん、ホテルなんか予約していない。
酔って、フラフラになってたから誰かが気を利かせてホテルに連れてきてくれたんだろうか。
時計の針は、朝の7時を指していた。
めぐみに、連絡しないと・・・。
すると。
「ん・・・・・」
部屋に一人きりだと思っていたので、ナオキは飛び上がらんばかりに驚いた。
さっきまでナオキが横になっていたベッドの毛布がモゾモゾと動いている。
驚きで声が出せない。
「あ・・・おはよう」
寝ぼけ眼でそう言ったのは・・・。
「だ、誰だっけ?」
ベッドに起き上がった、女。
白い肌、赤い唇、長いストレートの黒髪。
童話の、白雪姫が絵本から飛び出してきたみたいだ。