ナオキ・28歳の場合-7
薄暗くなった、人の気配を感じない校内で、ナオキは亜佐美を押し倒した。
亜佐美の上に乗った瞬間にフワリ、と花の香りがした。
ガターン・・・・・!
亜佐美が座っていた木の椅子が倒れる音だけが響く。
誰も来る気配はない。
硬く冷たい床に亜佐美を押し付けながら、ナオキは若い欲望を全力でぶつけた。
亜佐美が泣きながら何かを叫んでも、ナオキは欲望を抑えることもせずに亜佐美に注ぎ込む。
そしてー・・・。
気が付くと、制服がめちゃくちゃに乱れ、しゃくりあげるように泣く亜佐美の上にまたがっている自分・・・。
慌てて、亜佐美から離れる。
乱れたスカートの中から剥きだしになった白い太ももには、赤い血がこびりついていた。
ナオキは・・・亜佐美をそのままにして、カバンをあわてて引っ掴むと教室から飛び出した。
・・・それから、亜佐美がどうなったかわからない。
次の日から、亜佐美は学校に来なくなった。
何日かして、HRの時に教師の口から親の離婚で転校したと聞かされた。
いつも、放課後に残って本を読んでいたのは、親がいつもケンカしている家に帰りたくなかったからー・・・。
そんな話を、クラスメイトが言っていたのを聞いて、胸が締め付けられた。
そんな、亜佐美を俺はー・・・。
ナオキは、一人泣いた。
後悔しても、謝りたくても、亜佐美はもうどこにもいなかったー・・・。
―――あれから、数か月。
ナオキは、一人になっていた。
どうしても亜佐美のことが忘れられず、妻のめぐみと離婚してしまった・・・。
街を歩いていても、妻を抱いていても思い出すのは亜佐美の事ばかり。
亜佐美の、連絡先も知らない。
しかし、もうこれ以上自分にウソはつけないと離婚を申し出た。
住んでいたマンションをナオキは一人出て、今は職場近くのアパートに一人暮らしをしている。
寂しくないと言ったらウソになるが、ナオキはそれでもこれでよかったんだ、と満足していた。
そしてー・・・。