ナオキ・28歳の場合-2
「・・・あたしのこと、覚えてないの?」
長い髪をかき分けながら女が言った。
その仕草に、ナオキは思わず見とれる。
覚えてないの、って・・・。こんな美しい女が知り合いにいたら覚えていないはずがない。
「・・・!と、とにかく何か着てくれよ!」
ナオキは目を背けた。
女は、裸の胸をさらしていたからだ。
「…別に、良かったのに。昨日散々見たじゃないの」
くすくす笑いながら、それでも女は毛布で胸を隠した。
「そ、それはそうだけど・・・」
そこまで、つい条件反射で言ってしまってからハタと気が付く。
・・・昨日、散々見た・・・!?
「・・・昨日、って・・・?」恐る恐る聞く。
「やだあ、それも忘れちゃったの?あんなに可愛がったのに」
・・・!!・・・
ナオキは、ショックで立ち尽くした。
まず、頭に浮かんだのは家で待っているであろう、めぐみの顔だった。
そんなナオキの様子を少しの間、女は眺めていたが・・・。
毛布を、胸元で巻きつけると女はナオキの傍にやってきた。
そしてー・・・。
戸惑うナオキの頬を両手で挟むと、キスをした。
「んっ・・・!!」
反射的に女を押し返す。
その拍子に巻きつけていた毛布がハラリと足元に落ちた。
ー・・・女は、全裸だった。
一度、離れたがまた女は唇を押し付けてくる。
「ん・・・はぁっ・・・・んっ・・・」
フワリ、と花の香りが鼻腔をくすぐり、ナオキはめまいを覚えた。
ー・・・どこかで、嗅いだことがある・・・?
一瞬そう思ったが、すぐに消し飛んだ。
柔らかな唇と、弾力がある胸の感触。
脳天が甘く痺れるような感覚をナオキを襲う。
女が、ナオキの右手を自分の胸に誘導する。
ナオキの手から、少し余るくらいの乳房。
白い乳房の頂の、ピンクの突起はすでにツン、と立ち上がっていた。
ナオキは、何か言いかけて少し口を開けると、すかさず女の舌が侵入する。