新入社員歓迎会-2
過度に飲まされたアルコールのせいで、あいりの意識はかなり朦朧とし始めていた。
「藤本……支配人のビールが空いてる。早くおつぎしろ」
川瀬があいりに強引にビール瓶を持たせる。
「……は…はい……」
戸惑いながらも断れるような状況ではなく、あいりは仕方なく川瀬の言い付けに従った。
中森はつがれたビールを一口で飲み干し、自分の唾液の跡をわざとべっとりつけたグラスを無理矢理あいりに握らせた。
「じゃあ返杯するから。ちゃんと私が口をつけた場所から飲むんだよ」
口調は優しげだが、目つきは異様に鋭い。
「……あの…でも……」
ためらうあいりを無視して無理矢理ビールが注がれる。
川瀬も中森も、新入社員のあいりにとってはただでさえ逆らいにくい直属の上司だ。
ましてや川瀬には大きな弱みを握られている。
辰巳に撮影された写真が川瀬の手元にもあるかもしれないという不安が、あいりから抵抗力を奪っていた。
あの夜――――
川瀬と辰巳から二人がかりの凌辱行為を受けて以来、あいりは川瀬のセクハラを強く拒むことが出来なくなっていた。
毎日のようにバックルームに呼び出され、まともな抵抗もできないまま川瀬の欲望を処理するためだけに犯され続ける日々。
愛情とは無縁のケモノじみた強引なセックス。
望まないのに確実に絶頂に導かれてしまう肉体。
出口のない凌辱という名の暗闇―――。
もう何度川瀬に犯されたかわからない。
そして、彼に抱かれれば抱かれるほど「この人には逆らえない」という意識があいりの中に植え付けられていくようだった。
「ほら早く、ここに口をつけて」
川瀬に背後からうなじを強く押さえつけられ、あいりは吐き気をこらえながらそのコップに口をつけた。
自然に眉間にシワがよって悩ましい表情になってしまう。
あいりの可憐な唇に中年の唾液で汚れたグラスが無理矢理押し付けられる様子は、それだけでひどく卑猥な光景に見えた。
嫌がりながらもビールを飲みこむ度に上下するあいりの喉の動き。
飲み切れずに口の横から溢れて頬から胸の谷間へと伝う黄色い水滴。
その全てがまわりの男達の卑猥な妄想を掻き立てた。
「私がついだビールをこぼしちゃだめじゃないか」
中森は白々しく言いながら、あいりの胸元にこぼれたビールを拭い取るふりをして、胸の谷間にいきなり人差し指を入れてきた。