閉店後のフロアで-5
「ああ……たまんねぇ……」
辰巳は急に乱暴な手つきになって、あいりのベストとブラウスのボタンをひきちぎった。
「イヤァッ……や…やめて!」
ブラジャーの肩ひもが外れて、美しい乳房があらわになる。
「……ああっ……あいりちゃん……すげえ綺麗だ……」
激しい興奮が辰巳を襲った。辰巳は露出した乳房の先端の、充血した敏感な部分にいきなりむしゃぶりついた。
「……いやああああっ!」
絶叫して身をよじるあいり。
しかし身体の大きな辰巳の力の前ではほとんど意味をなさない。
辰巳は素早くあいりの両手をつかんで背中に回し、そこにあった売り物のスカーフできつく縛り上げた。
「……やああっ!やめて!ほどいてっ!」
手を縛られ身体を柱に押し付けられて、身動きのとれないあいり。
「ああ……ハアッ…ハアッ…あいりちゃん……あいりちゃん……」
辰巳はひどく上擦った声であいりの名を連呼しながら、乳房を変形するほど揉みしだき、硬く尖った乳首を夢中で吸いまくった。
「……ん…ああっ……」
テクニックも何もない乱暴な愛撫。
しかし、あいりの全てをむさぼり尽くそうとするその貪欲な舌使いが、あいりの身体に激しい快感を呼び起こしていた。
また、身体を拘束されて凌辱を受けるという初めての経験が、川瀬に犯されてあいりの奥底に芽生えた被虐願望を更に開発しようとしていた。
「あ……ああ…あん……」
あいりが目を閉じて甘い吐息を漏らしはじめたとき、ふいに辰巳の背後で声がした。
「……ずいぶんお楽しみだな」
はっと目を開けると、巡回から戻ってきた川瀬がこちらを睨みつけて立っている。
「……主任!」
「川瀬……主任……」
辰巳は瞬時に怯えたカエルのような表情になって、あいりから手を離した。
「ふん……なんでやめる?……いいから続けろ……」
川瀬は面白そうに言いながらスーツのジャケットを脱ぎ捨てた。
辰巳はどうすべきかわからずに困惑した顔で立ち尽くしている。
川瀬は辰巳とあいりの顔を交互に見ながら二人のそばにゆっくりと近づいてきた。
「……なに今更びびってんだ?……こうすんだろうが?」
川瀬はあいりの右の乳房をいきなり捻りあげるようにわしづかみにした。
辰巳はぎょっとして川瀬の行動を呆けた顔で見ている。
「……ううっ…しゅに……」
苦痛に顔を歪めながらも抵抗できないあいり。
他の男であれば「やめて」とはっきり言えるはずのことでも、川瀬に対してはまるで呪いにかかったように何も言うことが出来ない。
新入社員研修で刷り込まれた「上司には絶対服従」の精神は、真面目で素直な新入社員ほど強烈に刷り込まれている。
今のあいりにとって他のどんな男よりも、直属の上司である川瀬が一番恐ろしい存在だった。