育てること-1
「育てる」ということは
裏切られること。
右も左もわからない
真っ白だった君。
不安げに踏み出す
ひと足ひと足を
注意深く見守り
時には叱咤激励しながら
支えてきた。
君はいつのまにか
大きく成長して
一緒に登ってきた
高い山の頂きで
「もうあなたの助けは
いらない―――」
と、突然私の手を離した。
いつしか君は
私の背中を踏み越え
更に高い崖へと
挑みかかって行く。
育ててきたものが
自分を裏切った時。
それが本当に
育て終わった時。