投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

非線型蒲公英
【コメディ その他小説】

非線型蒲公英の最初へ 非線型蒲公英 4 非線型蒲公英 6 非線型蒲公英の最後へ

非線型蒲公英-5

 そのころ、部室では…。
「湖賀よ…今日の活動は何なんじゃ、ワシら二人しかおらんが」
「あ、い、いちおう、悠樹せんぱいもいますけど…」
「なぬ? 杵島じゃと? どこにおる」
「ろ、ロッカーの、中に」
「成る程。かくれんぼじゃな。意外と幼稚なことをしとるのぅ」
 がっ、と勢いよくロッカーを開ける。と、
「あ、あ、あ、ひあああああぁぁぁあぁん!!!」←絶頂。
 バタンっ、と勢いよく閉める。
「なっ、なんじゃこりゃあ…」
「え、えと、わたくしに聞かれましても…」
「ま、まぁいいわい、見なかったことにしとくか」
「は、はい」
「…うむ…そうじゃ、花札でもやるか? 湖賀よ」
 がさごそと、鞄から花札を取り出す。
「え、はい、そう、ですね…そうしましょうか」
「言っておくが、漢ルールじゃからな、負けたら…色々覚悟せよ」
「い、色々って…どんな…ですか?」
「うぉ、別にな、辱めたりするわけじゃないが…」
「はぅ(赤面)、そ、そうですよね」
「無しにするかの、漢ルール」
「あ、ちょっとした罰ゲームくらいなら、あった方が…盛り上がりますよね…」
「そ、そうじゃな」
 気まずいながらも、どこか初々しい会話に、闖入者。
「ねぇねぇ、花札やるの? 私も混ぜて?」
 杵島悠樹だった。どこかすっきりした表情だ。
「うおわぁぁぁぁ!!!」
「ひゃっ…!!!」
「ひどいよー…そんなに飛び上がるほど驚かなくてもいいじゃない」
「き、杵島よ、きさん、いつの間に」
「で、出てらしたんですか…?」
「んー、気が付いたら、ロッカーの中にいたんだよねぇ…何でだろ、誰かのいたずらかな?」
「やったのは、わしじゃないぞ!?」
「遊佐間先輩です…(ごめんなさい、先輩)」
「あ、そうだねぇ、聡君に何かされたような…よく覚えてないけど…服とか、ちょっとはだけてたし」
「な、なななな、なんと…!?」
(それは、自分でされたのでは…?)
「ま、いいかぁ。で、花札するんじゃないの? ねぇ?」
「…ああ! そそそうじゃな! そうじゃった!」
 顔をどす赤く染め、答える。
(猛先輩…完璧に勘違いしてらっしゃいますね…)
「わーい、じゃあ、はじめは私が親やりたい!」
「いや、カブじゃないぞ? 普通に、こいこいなんじゃが…」
「でも、悠樹先輩、こいこいの役とかご存知ですか?」
「え? 役? ふるはうすとか?」
「…もういいわい。カブで」
「そうですね…」
「じゃ、親いっきまーす!」

 本日の活動内容(記:湖賀燐)おちょいかぶ
 わたくし達は何をしているのでしょうかと、途中でお尋ねしようかと思ったのですが、先輩方が本気の、鬼気迫るような表情でいらしたので、とても聞ける様な雰囲気ではございませんでした。
 この部は『将棋部』で、確か悠樹先輩はその部長さんであった筈なのですが、花札をすることに何ら疑問を感じないのでしょうか。わたくしもだんだんと、違和感無く横道にそれて行くのでしょうか。それとも、既にずれてしまっているのでしょうか…。


非線型蒲公英の最初へ 非線型蒲公英 4 非線型蒲公英 6 非線型蒲公英の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前