春の光〜佐藤〜-7
笹原の話に頷きながらも、気になるのはユリさん。
ま、覚悟してたけど、こんな形で発覚するとは。
香月さんの前途多難って、このことか…
ただ、半年前に少しだけ話をした。
飲み会で話をしてこの支店ということがわかって。
ただ漠然といいなぁと思っていた。
でも、やっぱり今日こうやって話して、思う。
あの時と変わらない。
春の陽射しみたいに柔らかい雰囲気で笑いかけてくれる。
俺やっぱりユリさんが好きだ。
彼氏がいても。
あれから4年。
俺の気持ちはまだ変わらない。
正直、後輩としか見られてないことはわかってる。
何度か合コンにも行ったけど、出会いもなく。
相変わらず由梨さんを想ってる。
一緒に組んで仕事をしたのはたった3回しかない。
ホントに仕事は丁寧だし、俺たちがやりやすい様に周りに気を遣ってくれる。
でも厳しい。
怒られはしないけど、ビシビシ指摘される。
一緒に飲みに行っても常に周りを見て行動してたりする。
一見のんびりしてるようで、でもホントは凄く気を遣ってると思う。
オンとオフがしっかりある人だ。
知れば知るほどどんどん嵌っていく。
だから少しずつ憧れから、ホンモノになっていった。
4年なんてあっという間だった。
先週の月曜日。
例の彼氏と別れたのは噂で聞いた。
長い綺麗な髪がバッサリなくなったのはかなりショックだった。
香月先輩も十時先輩も心配してた。
由梨さんは今は恋愛するつもりはないみたいだって言ってた。
だからダメ元でも少しずつ入っていくつもりだった。
でも金曜日に見てしまったんだ。
由梨さんが男の人と一緒にいるのを…
だからつい言ってしまった。
「好きだ」と。
大事な会議の前だった。
全然わかってなくて、由梨さんを困らせた。
自分の焦りが先走って、考えが及んでなかった。