春の光〜佐藤〜-6
香月先輩、凄すぎる…
というか怖すぎる。
そんなにわかりやすかっただろうか。
1日目にして…ばれてしまった。
それより、前途多難ってどういうことだ?
「おい、佐藤!これから若手でカラオケで2次会らしいけど、大丈夫か?」
つい考えこんでしまったのか、笹原が心配そうに見てくる。
会話が終わったのか、ユリさんと香月先輩は十時先輩と話している。
「悪い。今日いろんな人と話して部署と名前と顔と話の内容が一致してるか考えてた。」
咄嗟に言ったが、笹原はそれに頷く。
「わかるわー!特に酒入ってから話した人とか気をつけとかなきゃ絶対ごっちゃになるもんな。早く覚えないかんよな。」
列が動き出す。
笹原が笑いながら言ったので、ちょっと探りをいれてみる。
「さっきの会話で思ったんだけど、笹原さ、冴木先輩と知り合いなの?」
「おう、大学が同じでさ。由梨さんと仲の良い先輩が俺と同じバイト先だったから、よくそのバイトの後に飲んでたんだ。」
笹原はあっさりと言う。
「今も結構飲んでる?」
「いや。由梨さんと、そのバイト先の人が卒業してからは殆ど飲んでなかった。1、2回あったけど。」
「じゃあ今日久しぶりに会ったとか?」
「そうだな。由梨さんとは久しぶりかな。そのバイト先の人と、由梨さんの彼氏とはこの間飲んだけど。」
…彼氏。
出ました。
やっぱりか…
「へぇ。彼氏も知ってるのか。」
平静を装う。
「よく飲んでた。まだ付き合う前だったけど。俺的には意外だったよ、付き合いだしたのが。ま、仲の良いみたいだぜ。羨ましい!俺も彼女欲しい…佐藤、彼女とかいないの?」
「俺も彼女欲しい…ま、仕事に慣れてからじゃないと多分無理だけど。」
俺の言葉に笑いながら笹原が頷く。
「確かにな!まずは仕事覚えんとな!月曜日からさ…」