春の光〜佐藤〜-5
お店を出ると、外はまだ肌寒い。
ユリさんはまだ出てきていない。
一人、入り口の方を見ていると同期の笹原が話しかけて来る。
「佐藤、今日はお疲れ。月曜日から頑張ろうな!」
笹原崇は営業2課だ。
「お疲れ!ホントみんないい人で安心したよ。月曜日から楽しみだな。」
2人で話していると、ユリさんと香月先輩が出てきて、2人で話しながらこっちに近づいてくる。
それに気づいた笹原がユリさんに話しかける。
「冴木先輩、お疲れ様です。」
俺は少し焦った。
というか、驚いた。
「たかちゃん!どこにいるかわかんなかったよ!」
たかちゃん?!
「由梨さんが遅いんすよ!俺テーブル反対側にいましたもん。」
ユリさん?!
「飲むの楽しみにしてたのにー!また聡と大輔くんと飲もうね!大輔くん、会社近くなんだよ!だから仕事帰りに飲むの、めっちゃ楽しみにしてたよ!」
「昨日、大輔さんからメールもらいました…」
2人の会話は続く。
どうも顔見知りらしい。
俺は少しショックで頭に入ってこない。
すると、隣から香月先輩が笑いながら言ってきた。
「佐藤くん、わかりやすいなぁ。」
「何がですか?」
意味がわからず香月先輩に聞く。
「私もこの間きいたけど、大学の先輩後輩みたいよ。共通の知り合いがいるみたいで、よく飲みに行ってるみたい。」
「そうですか。顔見知りっぽいなぁとは思ってました。」
「だから笹原くんと由梨は付き合ってるわけじゃないわよ。」
ー!!!
俺を見て香月先輩がニヤリと笑う。
「な、何ですか?」
「だから佐藤くんわかりやすいって言ったのよ。」
「いや、別に…」
「前途多難かな?由梨は大変よ、覚悟しなきゃ。」
香月先輩が遮るように言って、由梨さんと笹原に話しかける。