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微妙な体験
【ホラー その他小説】

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微妙な体験-1

夏の夜だった。
何時か分からないが自分のアパートのベッドに寝ていた。 
ベッドはベランダ側に面しており月の光で青く照らされていた。

ふと気付くと私の上に全裸の女が居た。
私の頭の両側に手をついて上から覗き込むような姿勢で。
いや、全裸かどうかは分からない。しかし少なくとも上半身だけは裸だった。
女はショートカットで顔は影になっていてよく分からない。

誰だろう?
はっきりしない意識で考えた。
考えるも何も全裸で思い当たる女性は一人しか居ないはずだった。
遠距離恋愛をしている彼女だ。
彼女の顔、住んでる場所、今の状況、昨日までの状況
段々考えがまとまってきた。

もしかしてこれが幽霊ってやつ?
心霊現象である可能性に気付いた瞬間からものすごい恐怖に襲われ、それと同時に体が動かなくなった。
生まれて初めての金縛り。
左手は頭の上、右手はお腹の上で固定されたまま動かない。

動け!動け!と念じた。
動いたところでどうするんだろう?分からないがとにかく念じた。
メチャクチャなお経を頭の中で唱えながら 消えろ!と念じた。

ふと気付くと朝だった。
自分が今まさに瞼を開いて目覚めて朝だったのか、それとも目を開いたまま意識が覚醒したのが今なのか全く分からない。
とにかく気付くと朝だったのだ。
夢だったのかな・・・?
怖いし夢であって欲しい。
でも私はあることに気付いた。
左手は頭の上、右手はお腹の上。

夢の中の自分と同じポーズで寝てた可能性を考えたいけど・・・

これが私の(今のところ)人生唯一の微妙な(心霊)体験です。



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