灯る光-1
全然気づかなかった。
気づいてなかった。
佐藤くんの気持ち。
あれからすぐに社用携帯にメールが届いた。
佐藤くんから。
どうしよう。
月曜日、どんな顔して会社に行こう。
そんな風に考えても答えは出なかった。
新しく恋愛する気分にはなれない。
日曜日はもやもやしたまま過ぎた。
ー月曜日。
結局あまり眠れなかった。
大輔くんの家はものすごく暖かかった気がした。
天気は私の心の中を表したかの様な曇り空。
天気予報も一日曇り。
むしろ雨が降りそう。
何となく大輔くんにも言いにくくて、消化不良。
でも今日は役員会議で大事なプレゼン。
頭を切り替え、電車の中でイメトレをする。
オフィスに入ると、既に石田さんがいた。
「おはようございます。」
「おはよう、冴木さん今日頑張ってね。」
挨拶すると、石田スマイルが返ってきた。
「ありがとうございます。会議室、準備してきます。」
そう言ってカバンをおき、書類を取り出し会議室に向かう。
広い会議室。
ほとんど金曜日に準備済み。
あとは書類とお茶をセットして、機材の確認をするだけ。
書類を机においている時、携帯が震える。
メールが1件。
大輔くんから。
ーーーーー
今日おっきな会議なんだろ?
がんばれよ。
緊張しすぎんなよ。
喋り出したら意外と早くほぐれるもんだ。
俺は大阪で悠々自適に過ごしてくる。
平日だから要らんかもだが、チャリも部屋も遠慮なく使っていいから。
八ツ橋楽しみにしとけよ。
ーーーーー
思わず笑ってしまう。
少し落ち着いた。
プレゼン台に立つ。
プレゼン台を囲む、"コ"の字にセッティングした机を見る。
やっぱり緊張する。
携帯のメールを見る。
深呼吸する。
ーコンコン
「はい。」
ノックの音に答えると、石田さんと佐藤くんが入ってきた。
ドキッとしてしまう。