灯る光-8
「で、その一緒にいた男はどうなの?」
「どうって…ちょうど別れたときに居合わせた大学の時の友人。凹んでるから、慰めてくれてたの。」
「ふーん。」
十時くんはニヤリと笑う。
「何そのニヤリ顔!」
「いや、前途多難だなぁと思って。ま、冴木らしいよ。頑張りな、佐藤のことはそんなに気にするな。なるようになるさ。」
十時くんが言ったあと、宮崎さんが入ってきた。
「ご両人、明日もあるからそろそろお開きにしようと思うが?」
「はい、大丈夫です。」
十時くんが答えると、そのまま帰る準備を始める。
前途多難…?
さっきの十時くんの言葉が気になる。
佐藤くんのことかな?
佐藤くんは待ちますっていってたっけ?
結局自分にいっぱいいっぱいで、佐藤くんに何も言ってない。
でも佐藤くんと付き合うとか、そういうのは考えられない。
やっぱり後輩としかみれない。
気持ちはホントに嬉しい。
でも佐藤くんの性格上、可能性がないわけじゃないからって待ちそう。
大輔くんに会いたくなった。
何も聞かずに近くに居てくれる。
カバンの中にある、大輔くんの鍵を思い出した。
私の家より大輔くんの家の方が近い。
お店を出ると理恵が隣に来る。
「ねえ、ちょっとお茶しない?聞きたいことあるんだ。」
「うん、わたしも話したいことある。」
男の人3人と別れ、2人で近くのカフェバーに行く。
オーダーをして受け取り、2人並んで座る。
理恵とはホントに気があって、いつも色んな話をする。
理恵の彼氏も知ってるし、理恵も聡と何度も会ってた。
「佐藤くんに言われたんだって?」
理恵が突然切り出す。
さすが、管理部。
管理部の女の子は情報が早い。
理恵は管理部だけど、うちの企画課の専属事務になってるから私の隣のデスクだ。
「え?!もう広まってるの?」
私が聞くと理恵は笑いながら答えた。
「いや、佐藤くんが私のところに来たの。出勤するとすぐ。佐藤くん、土曜日に勢いで言ってしまったからって。今日大事な会議ってわかってたのに、由梨の邪魔をしたんじゃないかって。だから言っといた、確かに気にはすると思うけど、今更なかったことにはできないんだから謝るのはやめなさいってね。ただ、邪魔したくないって思うなら諦めなさいってね。」
理恵の言葉に何も返せない。
理恵はさらに続けた。