灯る光-3
「由梨、おはよう。いよいよね。顔色ちょっと悪いけど大丈夫?」
隣から理恵が聞いて来る。
「さすがに寝不足だわ。」
「そうよね…緊張するわね。」
「早く終わって欲しい、ランチゆっくりしたいわ…」
答えると理恵が苦笑いなる。
「ま、大丈夫よ。始まればあっという間よ。」
「そうね…」
そう話していると朝礼が始まった。
会議で頭がイッパイなのに、その上佐藤くんの気持ち。
イマイチ落ち着かない。
朝礼も全然頭に入ってこない。
9時になり、業務を始める。
パソコンとにらめっこ。
でも半分は頭に入らない。
その時、後ろから頭を叩かれた。
「冴木、大丈夫か?」
振り返ると、同期の十時くんがファイルを抱え直しているとこだった。
「ファイル、痛いんですけど…」
「悪い。あんまりにも思いつめた顔してたからさ。」
何も返せない。
「おいおい、冴木。大丈夫だって!よし、作業室に行こう!俺が奢ってやる!香月さんもどう?」
理恵が笑って答える。
「時間までならね!十時くんの奢りなら、お付き合いしましょう。」
そう言って理恵が席を立つので、一緒に席を立つ。
そのまま給湯室の自動販売機に行く。
途中佐藤くんが声をかけて来たが、十時くんがやんわりと断る。
少し助かった気がした。
十時くんは知っているのかな…
お茶を買い、作業室に行く。
作業室は文房具や機材が置いてあり、こじんまりとしている。
机が4個並んでいて誰でも使える部屋だが、使う人は少ない。
私はこじんまりとしていて好きで、よく使う。
同期の十時くんと理恵はよく知っている。
だから落ち着けるために、ここに誘ってくれたのかもしれない。
お茶を飲みながら3人で話す。
その時間はあっという間で、いよいよ時間が来た。
理恵は準備のため、事務室に向かう。
十時くんはこれから営業でもうオフィスを出る。
プレゼンの結果をメールしろと言われた。
私も化粧室に向かう。
鏡を見る。
寝不足の少し疲れた顔がある。
今から会議で気が引き締まっているからそこまで酷くはない。