灯る光-2
「お疲れ様。大丈夫?プロジェクター、確認するよ。佐藤くんも手伝いたいらしい、他に手伝うことない?」
石田さんが聞いてくる。
「あとはプロジェクターだけなんで大丈夫です。佐藤くん、ありがとう。おはよう。」
「おはようございます。先輩、今日のプレゼン頑張ってください。石田先輩、俺手伝いますよ。」
そう言って2人で機材の確認を始める。
2人から離れ、椅子に座り書類と自分の資料を持ち流れの確認をする。
やっぱり緊張してくる。
「冴木先輩。」
佐藤くんの声に顔を上げる。
佐藤くんが心配そうに見てくる。
「大丈夫ですか?」
石田さんがいない。
いきなり2人になって別の緊張が走る。
「大丈夫、石田さんは?」
「朝礼前に一つ確認することがあるから先に戻るって…冴木先輩も戻られますよね?」
「うん、戻ろうか。ありがとう。」
資料を持ち立ち上がる。
ドアのほうに向かって歩いて行くと後ろから腕を掴まれる。
「先輩!昨日はすみませんでした。今日が大事な日なのはわかってたのに…俺確かに本気なんです。でも、邪魔したかったわけじゃないです。だから、気にせず頑張ってください。」
佐藤くんが困った顔で言い、手を離す。
佐藤くんの表情を見て、気を遣わせてしまったことを後悔する。
「私こそ気を遣わせてごめん。このプレゼンばかりは失敗できないから、大丈夫。こういうのもちょっとおかしいけど、佐藤くんは気にしないで。朝礼始まるから、行こうか。」
笑顔で言う。
正直どうしていいのかわからない。
酷いけど、今、佐藤くんの気持ちを考える余裕がない。
佐藤くんはちょっと複雑な顔をして頷いた。
猫っぽい。そう思った。
そのまま会議室から出て、佐藤くんと並んで事務室に向かう。
事務所に入り、自分の部署のエリアに行く。
石田さんにお礼を言ってデスクにつく。