灯る光-10
「ま、佐藤くんが気になるのはわかる。だけど、由梨は由梨なんだから。あんまり考え込まないことね。時期を見てやんわり断ればいいよ。今は佐藤くんも待つ気満々だから。佐藤がイイと思えば付き合えばいいし、他に好きな人が出来れば、正直に言えばいい。人間そう簡単に両思いにはなれないんだから。」
理恵はホントに大人。
頭の中が一気に整理された気がする。
それから長々と話し、気づけば0時を回っていた。
近くの駅に行く。
理恵を見送り、私も電車に乗る。
理恵と話して聡のことも佐藤くんのこともあまり考えられない。
家に帰ると考え込んでしまいそうで、何となく帰りたくなくて、大輔くんの家に立ち寄る。
大輔くんが勝手に使えといっても、さすがに気がひけるので、メールを送っておく。
駅に着いてのんびり歩く。
マンションの前に着いて鍵を取り出す。
初めて使う。
ちょっとドキドキする。
オートロックを解除し、エレベーターに乗り、部屋のドアを開ける。
見慣れた玄関と廊下。
リビングに入るとホッとした。
スーツのジャケットを脱ぎ、ソファに座る。
その時に携帯が鳴る。
大輔くんだ。
「もしもし?」
『お、お疲れ。遅かったな。』
「うん、お祝いの飲み会。電話大丈夫なの?」
『メールさっき確認できた。おめでとう。良かったな!ついさっき宿に帰り着いてな。会議のあと飲み会で、今携帯やっと見れた。この時間だから由梨とは連絡難しいと思ってたんだ。』
「そっか。ありがとう。終わって一安心だよ。ごめんね、勝手に来ちゃった。」
『いや、大丈夫。こんな時間だから泊まって行け。ジャージ使えよ。出来れば朝に卵食べて貰えたらありがたい。』
「いいの…?」
『おう。頼む。ゆっくりしていけよ。』
「ごめんね。ありがとう。」
『じゃあまたな。』
携帯を切る。
画面を見つめて、そのまま動けない。
ソファに寝転がる。
大輔くんと話すとホッとする。
これが恋かはわからない。
そんな風に考えたこととかなかったから。
でも私の中の大輔くんの存在はホントに大きいと思う。
ソファの上で微睡みながら考えていた。
結局考えながら眠ってしまった。