記憶-3
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「……キアルリア……キアルリア!……おいっ!キャラ!」
「んあ?」
耳元で名前を呼ばれ、両肩を揺さぶられたキャラは目を覚ました。
目の前には心配そうに覗く黒い瞳。
「……アース?」
答えた声にアースは安堵のため息をついて、肩を掴んでいた手を離した。
「どうしたんだ?号泣だぞ?」
「あ?」
頬に手をやると……確かに号泣だ……。
「……あ〜〜嫌な夢見た……」
ぐすっと鼻を鳴らしたキャラはサイドテーブルに置いてあるティッシュを手に取った。
久しぶりに飾り立てて姫なんかになったからこんな夢を見たんだ、とキャラは小さく舌打ちする。
「号泣するほどの夢ってどんなだよ?」
アースは慰めるように背中をさすりながら聞く。
涙を拭いたキャラはアースに目をやり、ため息をついた。
「話してもいいけど……聞いたら後悔するぞ?」
キャラの言葉にアースは怪訝な顔をする。
「させてもらおうじゃねぇか」
聞かずに後悔するよりはよっぽどましだ、というアースにキャラは今見た夢……つまり自分の過去を話した。
話を聞いたアースは何も言わず黙ったままだ。
「ほらみろ。後悔するって言ったじゃねえか」
言いながら本当はキャラが後悔していた。
初めての行為でイくなど、ましてやあそこまで乱れるなどありえない。
いくら香が使われたとはいえ、思考と筋肉の動きを鈍くするだけで媚薬ではないのだから。
呆れられたかもしれない……。
「あ?いや……」
ため息をついたキャラに気づいたアースは慌てて黙っていたワケを話す。
「妹を犯すって……お前の兄貴は変態か?」
「はぁ?」
キャラが危惧していた事とは違う所の突っ込みに思わず間の抜けた声が出る。
「!ああ!そっか、違う違う。ファンでは近親婚ありだから結構普通の事だよ」
文化の違いを初めて実感した。
「あぁ、なるほど……つうことは……結婚を申し込んだって事になるのか?」
アースの問いかけにキャラは嫌〜な顔をする。
「それが……まあ……城を出る原因っちゃ原因なんだが……」