記憶-17
「つうか、タイプじゃねぇし。諦めて帰んな」
「俺ぁ気にしねぇぞ?」
「オレが気にすんだよっ!」
キアルリアとして会うのはこれきり……という言葉通り、キャラに遠慮がない……と、いうかなさ過ぎる。
いつもは年上には必ず敬語を使うのに、敬語の『け』の字もない。
「俺と結婚したらゼビア王妃だぜぇ?」
「いらん」
キャラはシッシッと、犬か何かを追い払うような仕草をして家に入る。
「……益々気に入ったぜぇ……ぜってぇ嫁に来てもらうぞ!」
傍観していたアースは、そろそろ我慢の限界……と、後ろから国王の頭をわし掴む。
「……国王……俺の女に手ぇ出すとは、なかなか目が肥えてらっしゃる……が……城の一つや二つ吹っ飛ぶ覚悟は出来てんでしょうねぇ?」
アースは国王の耳元で囁くように言う。
「おめぇじゃあ、身分違いだろうが!」
「言ってくれるじゃねぇか!てめぇの部屋から燃やしてやらぁ!」
アースの手を振り払った国王と、目を金色に変えたアースが睨み合う。
「うるせぇ!どっちもとっとと帰れ!!」
キャラは怒鳴ると2人を蹴り出してドアを勢いよく閉めた。
一難去ってまた一難とはこういう事なのか……と、ドアにもたれたキャラは盛大にため息をついた。