記憶-16
今夜中に宿舎に戻らねばならないアースは、キャラを連れてリンとベルリアの所へ行く。
常に魔導師と一緒に居なければならないというのも、結構面倒くさい。
「おーい、キャラ連れてきたぞー」
ドアの前で大声を出すと、家の中からドタバタと物凄い音がした。
「なんで連れてきたのよっ?!」
ドアを開けたと同時にリンに怒られ、アースはムッとする。
「俺は今日中に戻んねぇといけねぇんだよ」
「ああっ!そうだったわっ!」
取り乱すリンにアースとキャラは嫌な予感がした。
「キャラ!来たか!!」
家の中から聞こえた声は、つい最近聞いた声。
キャラは眉をひそめ、アースは度肝を抜かれる。
「まさか……国王が?!」
アースの言葉にリンは物凄く情けない顔で頷く。
「へ?」
キャラが間抜けな声を出した時……大量の花束が飛び出して来た。
「うわっ」
いきなり飛んできたものをキャラは思わず受け取った。
「キャラ!!俺と結婚しようぜっ!!」
花束の後ろから現れた国王は衝撃の告白をする。
「嫌」
即答。
国王の突然の求婚にも驚くが、キャラの即答にはもっと驚く。
キャラはムスッとして花束を国王につっ返した。
「なぁんでだよ?」
お忍びで来た国王は堅苦しい城での礼服などではなく、普通のまさに一般人の服装。
焦茶色の髪色に同色の目なので、これで街にいったら絶対誰にもわからない。
「嫌なものは嫌」
キャラの答えは身も蓋もない……。
「だいたい、あんたいくつだよ?」
「40だ!」
「40のおっさんに、オレを満足させられるとは思えないね」
「大丈夫だ!体力は無ぇかもしれねぇが、あらゆる技を持ってっぜ!」
何が大丈夫なのだろう?論点がずれている……呆気にとられていた魔導師3人は王族の下品な会話に顔をしかめた。