月の光-1
あれから1週間が過ぎた。
助かることに、毎日仕事が忙しく、あっという間に金曜日になってしまった。
大輔くんは毎日メールをくれた。
他愛ないことだけど、なんだかんだで楽しみにしてた。
日曜日、相変わらず天気がよく、暖かかった。
結局髪を切りにいった。
30センチ。
バッサリ切って、今はボブ。
髪も染め直して、ウエーブかけて。
いい気分転換になった。
そのかわり、月曜日には雨模様。
出社すると周りは大騒ぎになった。
上司から"まさか、失恋??"って聞かれたから、"はい"って答えたら、何故か噂は広まった…
"冴木が別れたらしい"
"由梨先輩、ふられたらしいよ!"
噂とは怖いもので、午後になると違う部署の上司まで知ってた。
「冴木くん、意外と元気そうじゃないか!」
デスクから離れ、コピーを取りに向かった時、すれ違った際に言われた。
この時ばかりは勘弁してと思った。
デスクに戻り仕事に取り掛かると、同期の香月理恵が隣のデスクで笑う。
「理恵。笑い事じゃないよ!」
「ごめん、ごめん。いや、まさに対照的だと思ってさ…」
「あぁ、石田さん?」
石田さん。
うちの部署の先輩。
仕事ができて、普通にかっこいい。
社内でも1.2を争う人なんだけど、彼女とか、そう言う話は全くなかった。
そしたら今日出社すると、土曜日に石田さんが女の子と仲よさそうに歩いてるのを見た!彼女だろうって噂がたってた。
本人もあっさり認めたらしくて、社内の女の子はテンション下がり気味らしい。
確かにここ何週間か、石田さんは19時ごろになるとやけに携帯チェックしてた。
なんせ私の目の前のデスクだ。
彼女と待ち合わせだったんだろうか。
幸せ全開の石田さん。
不幸全開の私。
理恵には昼休みに金曜日の夜の事を話した。
ランチで近くのご飯屋さんに2人で行った。
目の前に対照的な人間がいて、笑ってしまったんだろう。