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続・せみしぐれ〜color〜
【その他 官能小説】

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続・せみしぐれ〜color〜(後編)-20

「あ、蝉…」
しばらくの後、乱れた呼吸の音に混じって聞こえてきたのは、夏の夕暮れに響く蝉時雨だった。

長い年月を地中に埋もれながら、憧れた地上に出れば短い命。
まるで、そのことを知っているかのように、己の命を削りながら鳴く蝉時雨は、何だか、今の私たちに似ている気がした。

「…ごめん…なさい…」
「――え…」
耳元で、静かな声。
「…何に対する謝罪?」
「よくわからないけど…」
そう言って、彼は俯いた。

…謝らないで。
あなたが謝ってしまったら、これは、あなたの罪になってしまう。
それは、違うの。
これは、二人の罪。
私たちの――罪。

「謝るくらいなら、ここで終わりにする?」
「それも…ごめん…」
苦しそうに、彼は呟いた。

――フゥ…。
ずるいなぁ、私。
ここで終わりなんて、私に出来るはずがないのに。

だって、私は知ってしまった。
あなたの、匂い。
抱きしめられる、腕の強さと。
愛してくれる、喜びを。

「…どうしたの?」
「ん?…きっと、ずるいんだね、私も」
「…どういうこと?」
「そういうこと」
怪訝そうに眉をしかめる、目の前の愛しき人。

教えてなんてあげない。
今は、まだ。
ずっとずっと、あなたの隣にいたいなんて思ってる――この気持ちなんて。

きっと、生まれて初めて、私は本気で願ってる。
罪を、許されるその方法が知りたい。
叶わない夢を、叶えられるその方法が知りたい。
だから、魔法をかけよう。
二人の身体を、繋げる魔法を。


私の首もとには、Tシャツとブラジャーが申し訳程度に引っかかっていて。
それはまるで、理性や常識といった概念を、僅かにつなぎ止めているかのようだった。

…いらない。

私は、それらの布地を一気に脱ぎ捨てた。
パサリと床に落ちる音。
そのまま、呆気に取られている相模くんを後目に、間髪入れずにショートパンツと下着もはぎ取った。

――欲しいの。
どうしても。
あなただけを。

「あっ、ん、あぁ…っ!」
再び、相模くんの腕の中に絡みとられて。
首筋を、胸を、腹を舐められ吸い上げられて。
がむしゃらに繰り返される今度の愛撫は、彼にも既に余裕がないことを伝えてきていた。


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