男と女の愛の告白(3)-2
私達の二人はその後、もう一軒のお店へ行くことになりました。
「じゃあ、もう一軒、僕の馴染みの店に行こうか」
と貴方は言ってくれましたね。嬉しかったのです。
貴方の良く行くといういきつけのスナックのお店、良いお店でした。
優しいママさん、素敵ですね。
うれしかったわ、二人だけですもの。
でも、無理して、あまり飲めもしないお酒をのんで酩酊した私。
せっかくのチャンスが・・・馬鹿な私でした。
ですから、あのお店での定かな記憶があまりありません。
その気持ちの中で、私が自分でないくらいに積極的に貴方に触れ合い、
貴方に媚びを売っていたような気がします。
それを今思い出しても、
恥ずかしさに、汗が身体の穴から噴き出してくる気になるのです。
ところが、それが良かったのか解りませんが、
気が付いたら、私はあきひとさんのお部屋のベッドに寝ていたのです。
でも、あきひとさんは、優しくしてくれたのですね、
私をタクシーで乗せて、貴方のマンションで寝かせてくれたのです、
私をベッドに寝かせ、貴方はソフアーで朝までそこに寝ていたなんて。
ごめんなさい・・でも、あの時は、ありがとうございました。
ちゃんとお礼を言っていませんでしたから。
カーテンから差し込む気持ちのよい朝の光で眼が醒めた私でした。
あきひとさんはソファーでぐっすりとまだ眠っていていましたね。
私は、起きると私はすこし頭がいたかったのですが、
すぐによくなったみたいでした。
目覚めて気がついた貴方が、私に冷たい水を飲ませてくれたからでしょうか。
「どうだい、気分は、だいぶ飲んだね、昨夜は?」
「あ、ごめんなさい、貴方をソファーに寝かせてしまって」
「いいさ、女の子を床に寝かせるわけにはいかないからね」
笑いながら貴方は熱いコーヒーをいれてくれたのです、
私は、それを飲むとすっきりとして、
体中の毒素が抜けるような気がしたのです。
そんなあきひとさんを見ていると、私は胸が何故か熱くなってきて
理由が分からない涙が、ひとりでに流れてくるのです、
それが自分でも解らないのですが、これが女心なのでしょうか。
好きな人といる朝のひととき。
コーヒーの香りが、朝の清々しい空気の中で淀んでいましたっけ。
そして、その時私は、初めて恋に落ちました。
女としての始めての恋を知ったのです。
もともと貴方が好きでしたから、その思いが開花したようなのです。
急に私は胸が熱くなり、こみあげてきて泣き出してしまいました。
そんな私をみて驚いた貴方は、私の顔を覗き込んだわね。
「どうしたんだい、なつみ?」
「・・・お願い、抱いて、好きなの、貴方が」
泣きながら、私は貴方の体に抱きついたのです、
こんなことは初めてなのです、本当に今でも解らないくらいに。
あんな大胆な私がいたことを。
「おやおや、いいのかい、そんなことを言って?」
私は涙に濡れた顔のまま、黙って頷きました。
「キスしてください」
少し驚いた貴方。
私と貴方はいつしか唇を重ねていました。
それから、熱い抱擁の時間、
いつまでも続いて欲しいこの瞬間・・