第一話-1
「いらっしゃいませー」
今日も私はとあるスーパーのレジにいる。控えめな色のシャツに赤いエプロン。次から次へとくる買い物かごから商品のバーコードを機械に読ませていく。笑顔を忘れずに。
私は宮本美咲。33才。近所のスーパーで私が客から店員に変わったのは半年ほど前。結婚3年目を迎えた頃、将来生まれてくる(であろう)子供の養育、教育費や新しく引っ越した家のローンなどを考えて、旦那と相談して決めた。それから、私はここでレジ打ちの仕事を週4、5回している。
「おつかれさまです」
お昼の休憩時間、休憩室でお弁当のふたを開けようとした時、声がした。声の主は山下くん、1か月ほど前に入ってきた社員で、高卒だから18ぐらいのはず。
「宮本さん!」
「なに?」
「好きです!!付き合ってください」
「は、はぃぃぃ〜〜〜!!!???」
ここから私の波乱の日々は始まった。