異国の姫君-1
「ん……あん……気持ちいいわぁ〜…」
「ここは?」
「ああんっ!上手ねぇキャラ……もうちょっと下……」
「こうですか?」
「あっソコ!……良いわぁ……」
「止めてくれないか……リン…キャラ」
ベルリアは机から顔をあげて2人に言う。
うつ伏せになったリンと、それに跨り、背中を押してマッサージをしていたキャラは2人してベルリアに目を向ける。
「声だけ聞いてるとあやしいよ……」
「やだ、ベルリアったら……スケベ」
「はは……」
リンはベルリアに文句を言うが、キャラは確かに……と、思ったのでリンの上からどいた。
スネークの事件から半月、リンも無事退院して普通の日常が戻った。
入院中、キャラが看護をかって出たのだが、その時してもらったマッサージがえらく気に入ったリンは、昼休みにキャラを呼び出して学長室でマッサージをしてもらっていた。
「えぇ〜やめちゃうのぉ?」
「仕事終わってからにしましょうよ」
「じゃ、今夜、家に来てね!じっくり楽しみましょ!」
「だ・か・ら、誤解されそうな台詞はやめてくれ」
ワザとだろう?!と怒るベルリアにリンはペロッと舌を出す。
苦笑いしたキャラは3人分、紅茶を淹れてテーブルに置く。
「日常っていいですね〜」
自分の紅茶を飲みながらしみじみと言うキャラにベルリアは笑う。
「あいつといると身が保たないだろう?」
あいつとは魔導師アース、只今騎士団に勤めており、元気に国中を走り回っている。
「ああ…まあ…そうですねぇ…でも、飽きなくていいですよ」
「でもそのせいで結構ヒドい目に合っちゃったじゃない?」
確かに……さらわれて、魔力吸われて、薬打たれて、犯されたりもしたが……
「ん〜…アースに言わないでくれます?」
ベルリアとリンは一度顔を見合わせてからキャラに頷いた。
「ぶっちゃけ、前にもっと酷い経験をしてるんで、大した事じゃ無いっつうか……全く平気なレベルかな?」
「もっと酷い?」
「実の兄にヤられたんですよ」
その時、使われた薬草の香が、スネークが使ったのと同じだったので、あの時記憶が混同した。