異国の姫君-3
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「おめぇの上っ面だけの謝罪なんざいらねぇよ。どうせ悪かったなんてこれっぽっちも思ってねぇんだろう?」
玉座にふんぞり返って座った国王は、開口一番そう言った。
片膝をついてかしこまっていたアースは、国王の言葉に苦笑いする。
「さすが国王。わかってんなら呼び出したりしないで下さいよ」
「おめぇがあれっくらいの事やるだろうってのはわかってたんだよ。呼び出したのはその事じゃあねぇ」
じゃあ何なんだ?とアースは怪訝な顔をする。
「火の精霊使いと、今回被害にあった精霊が見えるっつう女に会いてぇ」
「エンとキャラですか?」
「おう。どっちも珍しい能力じゃあねぇか。この目で見てみてぇんだよ」
少年のようなキラキラした目でアースに語る。
「……ただの好奇心ですね?」
ギクッ。
「だぁってよぉ〜…」
今度は子供のようにいじける。
ゼビアの国王が王様らしくないのは今に始まったわけではない……やる時は率先して行動し、国民をグイグイ引っ張っていくが、何もない時は本当に何もしない。
ため息をついたアースは立ち上がって国王に伝える。
「スネークの件でご迷惑かけましたからね……連れてきますよ」
「おっありがとよ」
ぱぁっと顔を輝かせた国王はニコニコとアースを見送った。
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「……つうわけでな……頼む!ついてきてくれっ!」
「断る」
両手を合わせて頭を下げるアースに、キャラは間髪いれずに答えた。
「……少しは考えろよ……」
「あぁ?偉そうに言える立場かよ?勝手に決めやがって……オレは絶対に行かねえからな」
キャラはそう言うと、立ち上がって部屋から出て行ってしまった。
「怒ってたわねぇ」
キャラが怒る事などめったにないのだが、今回は逆鱗にふれたらしい。
気まずそうに頭を掻いたアースは、エンだけ連れていく事にした。
アビィに乗って王城に来たアースとエンは城の上空を旋回する。
「おお!すげぇなぁ!屋上に降りて来いや!」
テラスからその様子を見た国王はアビィに乗ってる2人に合図した。
アビィは風を巻いあげて屋上に降り立ち、2人は飛び降りて国王を出迎える。