異国の姫君-2
「しかも初めてだったんで、さすがにあの時はちょっとおかしくなりましたねぇ」
他人事のように話すキャラに2人は納得したような、同情するような複雑な表情を見せる。
「アースに言ったらうちの兄に殴り込みに行きそうで言えないんですよねぇ」
それは確実だろう。
「でも兄が嫌いとか、許せないってワケじゃないんで……つうか、オレの国じゃ近親婚も有りだし」
キャラの話をベルリアは手をあげて止める。
「って事はもしかして……キャラはファンの国出身?」
「うえ?」
ここら辺の国で近親婚ができるのはファンぐらいだ。
「ファンってミヤの国じゃない?」
「え?ミヤと知り合いですか?」
「私の彼女」
「えぇ!?学長、彼女いたんですか!?」
「そりゃいるよ」
「っていうか、キャラ、ミヤ知ってるの?」
「……え?」
沈黙。
「あ〜…っと……そのぉ〜…」
つい、喋り過ぎてしまった事を後悔しつつ、どうやってごまかそうか思案する。
「ミヤはファンの巫女だよ?一般人は会えないはずだけど?」
ファンの国は王家の上に、守護神という存在がいて、政を取り仕切るのは王家だが、トップは守護神。
ベルリアの彼女ミヤはその守護神の世話をする巫女なので、やたらめったら会えるワケじゃないし、ましてや名前を知っているなど一般人には有り得ない。
「………………」
なんとも言えない空気が学長室に漂う。
「なんだ?この空気は」
何の前触れもなくかけられたアースの声に3人は同時に振り向く。
入り口には騎士団の制服を着たアースが立っていた。
「アース?騎士団の仕事はどうしたんだい?」
「あぁ、それなんだがなぁ……国王がエンとキャラに会いたいそうだ」
「へ?」
部屋に入ってきたアースはキャラの前の席に座る。
「さっき国王んとこに謝罪に行ったんだがな……」