消えた光とかすかな光-9
「ここは俺ん家だ。昨日はあれから5時まで飲んで、うちまでタクシーで帰った。借りてた制服、着てた服は全部今洗濯中。着替えは全部お前が自分でした。乾燥まで出来るし、俺は洗濯機の中は見てないぞ。そのジャージは俺の。俺も帰ってから眠くて寝た。俺が勝手にお前に付き合っただけで、お前が悪く思うことはなにもない。悪いと思うなら、とりあえずおとなしく寝て元気になれ。他に質問は??」
大輔くんは言いながら私を抱えたまま他の部屋に移る。
そして柔らかいベットの上に降ろされ、布団をかけられた。
「…ない。大輔くん、色々ありがとう。」
この優しさに救われる。
涙が出てくる。
あんなに泣いたのに、まだ出てくる。
「はやく元気になれよ。水持ってきてやる。寝とけ。」
そう言って大輔くんは部屋を出ていった。
色々ありすぎて疲れた。
ふわふわ気持ちいい。
大輔くんがいてくれてよかった。
ーーー!
寝てた?
起き上がると、小さなチェストが目に付く。
お水と携帯が置いてある。
グラスに手を延ばし、飲み干す。
部屋を見渡す。
茶色と白で統一された部屋。
大輔くんっぽい。
携帯を手に取ると、電源を入れる。
昨日、聡からの連絡が嫌で切った。
13時25分。
メールを5件受信した。
何となく見るのが嫌でそのままベットから降り、部屋を出る。
リビングに向かう。
そっと開けると、ソファの上に大輔くんが寝ていた。
ソファに近寄り、テーブルにグラスと携帯をおき、前に座る。
何となく離れたくなくて。
昨日を思い出す。
5年、何も疑わず楽しく過ごしてきて…
訳のわからないまま、お別れして…
悲しいけど…
でももう会いたくはない。
そう思えるのは大輔くんとか、マスターとかのお陰かもしれない。
「おい。お前、起こせよ。」
顔を上げると大輔くんが私をみていた。
「あ、ごめん…起こしちゃ悪いかと。ベット使っちゃったからこっちに居たんだよね、ごめんね。」
「大丈夫。だいぶスッキリしたか??」
大輔くんは起き上がり、気遣ってくれる。
本当に優しさが身に染みる。
だから、一つ気になることを聞いてみようと思った。
大輔くんならきっと教えてくれると思ったから。