消えた光とかすかな光-7
「由梨ちゃん戻ったわよ!」
女の人はそう言って私を従業員室からカウンターの内側に引きずりこむ。
カウンターに座っていたマスターと大輔くんが席を立つ。
その隣には、知らない男の人が2人。
マスターが座っていたのは、さっき迄私が座っていた席。
すると、マスターが手招きしながら言う。
「由梨ちゃん、こっちにおいで。」
言われるがまま、そこに座る。
マスターはカウンターに入り、従業員室に入って行った。
「すっきりしたか??」
大輔くんが聞いてくる。
「うん。ごめんね。」
すると左側からさっきの知らない男の人が話しかけて来た。
「大変だったなぁ!これおじちゃんたちから!あんた、チョコとナッツ好きなんだろ??いっぱい食べなさい!マスターも、おじちゃんたちも、あんたの味方だよ!」
おじさんはそう言って私にチョコとナッツが沢山入ったお皿を出してくれた。
「え、いや、そんな…」
意味がわからず困っていると、カウンターにいた、あの女の人がお酒を作りながら言った。
「いいのよ、由梨ちゃん。おじちゃんは若い娘に甘いの。こんな時くらい甘えなさい。大丈夫!皆由梨ちゃんと大輔くんに感動したんですって!」
できたお酒を大輔くんに出す。
「私から。大輔くんもすごかったらしいじゃない。」
そう言うと、おじさん達が続けていった。
「奥さん!さすが!わかってらっしゃる!」
ー!!!
「マスターの奥さんなんですか?!」
私はびっくりして思わず聞いてしまう。
「そうだよ。由梨ちゃんは会ったことなかったっけ??」
ちょうど従業員室からマスターが出てきたとこで、マスターが答えてくれた。
「お会いしたことなかったです…マスター、奥さん、本当にすみませんでした!お風呂も借りて、お店も汚してしまって。それに、おじさま方もせっかく気分良く飲まれていたのに、雰囲気壊してすみませんでした!」
また涙が出そうになる。
「由梨ちゃんが謝ることじゃないのよ。あなたに謝られたら私たちは困っちゃうわ。」
奥さんが言う。
「そうだよ由梨ちゃん、顔をあげなさい。まずあったかいもの飲んで。はい、ホットココア。」
マスターはそういいながらカップを渡してくれた。