消えた光とかすかな光-14
「もう、無理…だよ。私だって…私だって好きだよ。でも…昨日…先に目を反らして…あの人を選んだのは聡だよ!私を目の前で捨てたのは聡じゃない…」
急に腕を引っ張られる。
そのまま、聡に抱きしめられる。
「ちょっと!やだっ!離してっ!」
ー嫌だ!
「聡、やめてっ!」
手で押してもびくともしない。
「やだっ!」
手が顔に当たる。
聡が離れる。
でも、目が本気だ。
私は思わず後ずさる。
「ホントに好きなんだ。会ってやっぱりそう思った。」
聡がいきなり言う。
「は?何言って…」
「俺、やっぱり由梨のこと手放せない。昨日も思ったけど、大輔に渡したくないんだ。」
そう言って聡が近づく。
「ちょっと、大輔くんは私を庇ってくれただけだよ!何言って…」
聡に腕をつかまれる。
「だめ!もう無理だよ!やめて!お願い!あの人を選んだのは聡だよ!あの人はどうするの!もうこれ以上嫌いにさせないでっ!」
力の限り叫ぶ。
聡の手が離れた。
「そうだよな…俺が裏切ったんだ。そんな都合よくならないよな…」
聡の目から涙が落ちた。
「ごめんなさい…」
「ごめんなさい…私はもう戻れません…」
これ以上言葉が出てこない。
「…由梨、ありがとう。ごめんな。今までホントにありがとう。傷つけてごめん。来てくれたのにすまん、これ返す。もう行ってくれ…」
聡がポケットから何かを取り出す。
手を出すと、私の部屋の鍵だった。
「ごめん。ありがとう…じゃあね。」
涙をこらえて、言葉を絞り出す。