秋桜の季節-3
「そうなんです。昨日友人と飲みに行って、友人の家に車を置いて行ったんですよ。なので、今から友人の家に。」
はにかみながら柔らかく話す石田さん。
この雰囲気が好きなんだけど、友人という言葉にドキッとした。
ー 彼女かな??ー
そう思ってしまう。
「地下鉄で会うなんて今までなかったので、びっくりしました。」
色々考えながらもやっぱり会えたのは嬉しくて、ついつい早口になってしまう。
「高梨さんは上り方面ですか??」
改札を通りながら聞かれる。
「はい。石田さんは??」
「僕も上りです。途中までご一緒してよろしいですか??」
「もちろん!」
きっと顔が真っ赤だ。
心臓の音が聞こえてしまう気がする。
そのまま電車に乗り3駅。
その間は本当に楽しくて、あっという間だった。
石田さんの情報もちょっとわかった。
窓口で住んでいる所は話したことがあったんだけど、今日一人暮らしということが判明。
石田さんは私の家のちょっと先で一人暮らし中。
偶然にも私が降りて電車を乗り換える駅と石田さんのお友達さんのお家がある駅は一緒で、一緒に改札を抜ける。
「高梨さん、接続電車まだ時間ありますね…」
石田さんが電光掲示板を見ながら呟く。
「そうなんです。まぁ、慣れてますので!石田さん気になさらずに行ってください。私ホームで待ちますから。」
「…もし宜しければ近くまで送りましょうか??」
ーー!!!
やばい、嬉しい!
「いやっ、あのっ…」
嬉し過ぎて言葉にならない!!
どうしよう!
「僕も同じ方面なんで気になさらないで。高梨さんさえ良ければです。あ、そういうの気にする方がいらっしゃいますかね??」
「いえ!全っ然!むしろ気にしないんですけど。じゃなくて、気にする人とかそんな人いないんですけど。そんな車に乗せてもらうとか、彼女さんに悪いかなって。全然普通に帰れますし、遠回りになりませんかね??何かご迷惑になりませんかね??もう何言ってるのかわかりませんね。」
何かわけがわからなくなっちゃう。
やばい、意味わかんない女って思われる。
どうしようっ。