秋桜の季節-18
「俺、高梨伊織さんが好きです。だから、ちゃんと付き合って下さい。」
ー?!
ーストンー
「わっ!」
足の力が抜けた。
石田さんの声がした瞬間、右腕をつかまれた。
「高梨さんっ?!」
石田さんが、石田さんが好きって。
私を好きって。
付き合ってって。
意識したら一気に顔が熱くなる。
体を支えられる。
左腕を腰に回され、立たされる。
いとも簡単に。
「高梨さん、大丈夫ですか??砂付いちゃいますよ。」
目が合うと一気に恥かしくなった。
まさか手が届くような人だと思ってなかったので、ホントに夢かと思う。
嬉しくて涙が出た。
「高梨さんっ!すみません、俺泣かせるつもりじゃなくて。」
「違うんです、嬉しいんです。私もずっと石田さんのことが好きだったんです。ずっと憧れてて、まさかこんな風に言われるなんて思ってなくて。びっくりしてしまって。」
石田さんは目を大きく開いたあと、今までにないくらい、眩しい笑顔になった。
「高梨さん。じゃあ付き合って下さい。」
「はい。よろしくお願いします。」
私がそう言うと、石田さんは私の手をとって階段を登り始めた。
繋いだ石田さんの手はすごく温かかった。
「高梨さん。すみません、冷えてしまいましたね。温かいお鍋でも食べに行きますか??高梨さんの家の近くに美味しいお鍋とお酒のお店がありますが。」
「はい!いいですね。折角だから石田さんも飲まれませんか??車置いて。」
砂を払い車に乗り込むと、運転席から石田さんがあの笑顔で、頭に手を乗せた。
ポンポンと頭を叩くと、エンジンをかけ、ゆっくりと動き出す。
「お気遣いありがとうございます。高梨さんは花もありますし、一度荷物置きに行きますか??」
「そうですね。お花もちゃんと生けたいですし。一度帰ります。」
「じゃあ送ります。車おきに戻りますんで、また連絡しますから。」
「うちに車置いたらダメなんですか??一応駐車場ありますから。明日だったらお酒抜けますから、乗って帰れますよ。」
石田さんが苦笑いになる。