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恋の花名
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秋桜の季節-17

「窓口の話、覚えてたんですか??」

「もちろん。いや、今日くる予定はなかったんですが。お元気になればと思って…寒くないですか??」

「大丈夫です。わざわざすみません。」

「せっかくなんで、浜を歩きますか??階段からおりましょう。」

石田さんが車にロックをかけ、階段を進む。
後を追って砂浜に出ると、波の音がまた大きくなる。
雲は多いが、雨も上がっており、月の光が十分に届く。
木の枝や貝、蟹の穴などかわ照らされている。

会話がない。
ただただ波の音がする。


「高梨さん。」

石田さんが立ち止まるので、私もつられて立ち止まり答える。

「はい??」

「海はお好きですか??」

「好きですねー。実家が海のすぐそばで、まだ実家にいた頃は好きじゃなかったんですが、こうして全然海のそばじゃなくなると久しぶりに来るといいなぁって思います。波の音って飽きませんから。」

そう言って海の方を見る。
大分身体が冷えてきた。

「冷えますね。戻りましょうか。もう少し見られますか??」

「いえ、もう大丈夫です。石田さんこそ大丈夫ですか?お気遣いありがとうございます。元気になれました。」

そう言って後を引き返す。


こうやって2人で並ぶと恋人みたいに見えるかなぁ。
そんなことを考え出すと妙に緊張してきた。


階段に近づいてきた時、石田さんが身体ごと私の方を向く。

「高梨さん。一つご相談というか、お話があって。」

そうだった。
今日はこのお話を聞くのが私のお仕事でした。

「倉山さんが高梨さんはお酒が強いから、って言われてたんで、ご飯食べながらゆっくりとでも思ったんですけど。」

倉山さん…また余計なことを!

「高梨さん、俺と付き合っていただけませんか??」

「いいですよ!お酒なら、私は紹興酒以外大丈夫ですから。」

「いや。そうじゃなくて…」


石田さんがこちらを見たまま苦笑いになる。


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