秋桜の季節-15
「お前なぁ。」
石田さんがため息をつく。
「前祝いよ!オープン祝いは今度、要の家で。創樹がお肉担当で手を打とうじゃないの!」
「へいへい。じゃあ高梨さん、いきましょうか。」
「伊織ちゃんまたね!」
手を降る神沢さんにお礼を言って会釈し、石田さんと歩く。
「高梨さん、騒がしい奴らばっかりで本当にすみません。」
石田さんが謝ってくる。
「いえ、とんでもない。ちょっとびっくりしましたけど。」
「そりゃびっくりしますよね。」
そう言って石田さんは車の助手席のドアを開ける。
「お邪魔します。」
ドキドキしながら座ると、目の前にブーケを出された。
「あ…神沢が高梨さんに作ったものですから、貰ってやって下さい。」
手を伸ばし、受け取るとドアが閉まる。
ブーケを見ると切なくなった。
仲の良い2人の姿だったり、あずさっていいかけて神沢って言ったり、彼氏っぽい言い方だったり。
私が迷惑じゃないかと、助手席に乗っちゃいけないんじゃないかと思ってしまう。
色んなこと考えてしまって、泣きそうになる。
運転席のドアを開けると、石田さんがすっと乗り込んでくる。
「出発しますけど、大丈夫ですか??」
「はい。」
駅の駐車場から出ると、昨日の道をゆっくりと進んで行く。
「高梨さん、今日はわざわざありがとうございます。」
「いえ…こちらこそ2日連続で送っていただいて。」
「いや、今日は少しお話したいことがありまして。ご飯どうですか??」
お話…。
その言葉に切なくなった。
返事が出来なかったせいか、石田さんがこちらを伺うのがわかり、慌てて石田さんの方を向く。
顔を上げると、不安そうな石田さんの顔と目が合う。
「すみません、大丈夫です。」
「体調悪いとか??無理させてますかね??」
「いえ!とんでもない!非常に元気です。すみません、何かちょっとびっくりしてしまって。まさか、お知り合いとか思ってなくて、こんな可愛いブーケまで貰ってしまって…」
石田さんはほっとしたのか、柔らかい口調でゆっくり答えてくれた。