金色の双眸-15
「電系だな……」
アビィの傷を看たアースは相手の魔法を分析する。
「アビィと繋がってた時見えたのは蛇だったよぉ」
「蛇……スネークか……エンと同じで精霊憑きだな……」
精霊なら見えないから偵察にはもってこいだ。
それで今までもこっちの動きを探っていたのだろう。
「……!ヤバい!学校に戻るぞ!」
アースが騎士団に復帰してから、スネークは思い通りに動けずヤキモキしていたはずだ。
そのアースの弱点であろうキャラの話を聞かれたということは、キャラが狙われる可能性が高い。
アースは通信機を使ってベルリアと連絡を取る。
「親父!?キャラを保護してくれ!」
『わかった』
詳しい事は後回しにして簡単に言うと通信を切り、すぐさま出発する。
「エンはアビィが回復次第追ってくれ!団長はエンを頼みます!アース隊!半分ついてこい!残りは団長に従え!」
アースは馬に鞭打って猛スピードで駆けていく。
指示を受けたアース隊は慌ててアースの後を追いかけて行った。
「ねぇ、キャラはどの子かな?」
学校の正門前に立つ男性に声をかけられた女生徒は、何の疑いもなく校内を見渡す。
丁度、本を抱えたキャラが校舎から出て来た所だった。
「あの人ですよ」
「そぅ、ありがとう」
男性はお礼を言うとキャラに近づいていく。
嫌な気配にキャラの背中にゾワリと悪寒が走り、本がバサバサと落ちた。
本能的に振り向いたキャラと男性の目が合う。
男性がニヤリと笑い右手を頭上に掲げるのと、キャラを探しにきたリンが男性に気づいたのは同時だった。
「発!」
「雷!」
リンは急いで地面に手をつき、校内に仕掛けられている防御の魔法陣を発動させた。
一瞬遅れて男性が雷を落とす。
バリバリィッ
ゴオォォンッ!!
空気が割れるような音と、物凄い轟音、衝撃が襲う。
「ぐっ?!」
「きゃあっ!」
あまりの衝撃にリンは吹き飛ばされ、キャラは地面に叩きつけられる。
地面に倒れ込んだキャラは腕をつき、頭を降る。
体がビリビリと痺れる感覚に、いったい何が起きたのか確かめるために顔を起こしてギクリと体を強ばらせた。
あらゆる物が焼け焦げて無惨な姿を晒していた。
「う…そ……」
煙をあげている地面と建物……そして呻き声をあげる人々。
「!っリンさん!」
目の端に映った蜂蜜色の髪に、キャラは驚いて声をかけるが、リンはぴくりとも動かない。
うまく動かない体に舌打ちして、ズリズリと這いながらリンの元へ行こうとした時……