ラプソディー・イン・×××-6
「高木のお願いだったら何でも聞くぞ?」
「ほんとにー?」
「あぁ。」
「じゃぁ…彼女にしてくれますか?」
勇気を振り絞って、玉砕覚悟で発した言葉。どんな反応が返ってくるか怖くて目をつぶる。無反応な沈黙が心配になって目を開けると、きょとんとした顔の課長がいた。
「彼女にして、って…オレはそのつもりだったけど?」
「へ?」
「へ?じゃなくて。高木はどういうつもりだったの?」
「せ、セフレ?」
「はぁぁぁぁぁぁぁぁ????」
ちょっと怒ったような表情の課長に慌てて弁明する。
「だ、だって課長、付きあおうとか言ってくれないし。外でデートするわけじゃないし、なのにエッチはするからすっかりそういう関係なんだと…」
「あのなぁ。好きでもない子を抱いたりしないよ。確かに付きあってほしいとか、きちんと気持ちを伝えなかったのは悪かった。でも高木はわかってくれてるんだと思ってたよ。」
「わかりませんよ、言ってくれなきゃ。」
今度は私が頬を膨らませる番。頬に課長の大きな手のひらが触れる。
「ごめん。高木が好きだよ。セフレとかじゃなくて真剣にね。」
「課長…」
ちょっとうれしくて泣きそうで、課長の胸に顔をうずめる。
「あのさ、高木。こういう時くらい課長ってやめない?なんかセクハラとか悪いことしてるみたいじゃん。」
「へ?…ん…じゃぁ、安積さん?」
「うーん。」
不満げな課長に思わず抗議する。
「課長だって私のこと高木って呼ぶじゃないですかっ。」
「み、実花。」
真っ赤にして名前を呼んでくれる愛しい人。
「なぁに?創ちゃん。」
飛びっきりの笑顔で甘えてみる。
「そ、創ちゃんって。お、おいっ。」
顔を真っ赤にして慌てる姿がやっぱり愛しい。
「ダメですか?」
「ダメ。」
「創介さん。」
「なんだかこっ恥ずかしいな。」
照れ隠しなのか、再び腕の中に捉えられる。
「明日、たまには外でデートしようか。」
「ほんと?でもその前に…」
もう一度自分からキスをして耳元で囁いてみる。
「もう一回、しましょ?」
-the end