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〈晩秋〉
【鬼畜 官能小説】

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〈晩秋〉-1

木々の葉が赤く染まりはじめ、野原に揺れる花達は、とうに散って姿を消していた。
稲穂は黄金色に輝き、風も肌を涼やかに撫でる。
季節は確実に過ぎていっていた。

吹き抜けていく風。
その先を辿れば、道路のアスファルトは荒れが目立ちはじめ、 人の手から放置された雑草が路面を覆わんばかりに伸びてきていた。

伸び放題の雑草の絨毯。
拡大を始めている雑木林。その傍に生活感の感じられない家屋が数軒、隠れるように朽ちた姿を晒していた。
かつてはここも立派な農地であったのだろうが、今では見る影もない。
その荒れ地の中の一軒家に、数人の人影があった。


こじんまりとした二階建ての家。
汚く煤けた黄色い外壁。
屋根には風に飛ばされてきた木の葉が堆積し、錆びの進行を早めている。
埃に汚れたガラス窓。しかし、そこは雪囲いで外からの視線が遮断され、内部からも木板が貼られていた。並び立つ家屋の中でも、比較的新しい家……その少し不思議な雰囲気を醸し出す家から、バタバタと何かの作業をする音が聞こえてきていた……。



『こんなカンジでイイかな?』

『お!さすがに上手いですね』


騒がしい家屋の中。
八畳ほどの広さの居間の真ん中には、木造の大の字に似た台らしきものが据え置かれ、その周りで男達は屯(たむろ)して作業をしていた。

日の光さえも差し込まぬ部屋は、日中にも係わらず暗かった。
無論、こんな家まで電気など通うはずもなく、男達は部屋の四隅に取り付けた携帯ライトや、夜釣りなどで使うヘッドライトの明かりを頼りに作業をしていた。
薄い低反発マットを巻き付け、台の裏側にビスを打ち付けて固定していく。
そして、その台の複数ヶ所には、犬用と思われる首輪を、先程と同じく、台を巻き込むように廻してビスで留めていた。
それはどう見ても、常識的な“何か”ではなく、精神に異常を来した者達の“何か”であった。


『本格的な造りになりましたね』

『そりゃあ〈あの人〉が寝るんだから、失礼があったら大変でしょう?』


薄ら笑いを浮かべる男達の年齢は、20代くらいの若者もいたが、殆どは30代から40代の男だ。
むさ苦しい顔を突き合わせ、不気味な作業をしている様は、やはり異様の一言に尽きる。


『窓の隙間、ピッチリ閉めてくれよ。音が漏れないようにな』


僅かな隙間にもパテを塗り込み、しっかりとテープで塞ぎ、更には木板で留めていく……丁寧な改築が続けられ、辺りが暗くなるまで、その作業は止まる事を知らなかった………。





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