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〈晩秋〉
【鬼畜 官能小説】

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〈晩秋〉-5

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あれから数日後。

いつもと変わらぬ毎日を友紀は過ごしていた。

調理をしては自分流のアレンジを加え、それをレシピとさせて完成させ、それが一段落すれば地味なストレッチや筋トレに励む。
そして夜になれば男性とデートをして、女性に生まれた悦びに浸る。

今日もまた夕暮れが近付き、男性との約束の場所に向かうのだ。


好きな事が仕事となっている喜び。
常に好意を持ってくれている異性と出会える喜び。
他人から見ても羨ましい生活を送っているにも係わらず、友紀はどこか虚しさを感じていた。


(……今の男でイイのかしら……?)


着替えもメイクも終え、ふとそんな事が頭の中を過ぎった。
今、付き合っている彼氏達は、それなりの役職に就いている男性ばかり。
当然の事ながら、容姿も恵まれているし、友紀を大切にしてくれている。
しかし、友紀は一応は本も出版しているし、雑誌メディアに取り上げられた事もある。
そんな生活を繰り返してきて、何処かに芸能人気取りがあったのだろうか?
そんな事が驕りになっていたのか、今の男達は何か物足りないように思えてきたのだ。


(もっと私にはイイ男が……)


ある程度満たされたら、そこで満足すれば善いものを、友紀の欲は沸々として落ち着かなかった。
本気で結婚相手を選ぼうという時、その残り時間の少なさに焦りは強くなっていった。
いつも周りに優しい異性が居る事で、自分は特別だと思い込んでしまったのだろうか。
そんな事を思っていた最中に、玄関の呼び鈴が鳴った。
居間の壁に掛かるモニターには、玄関の呼び鈴に備え付けられたカメラの映像が映っている……この前の料理教室の時の参加者の顔だった。


{すみません。この前に料理教室に出てた者で……妻が大変喜んでくれて、その御礼を………}


はにかんだ笑顔の男は、カメラに向けてペコペコとお辞儀を繰り返し、妻が妻がと繰り返していた。
その様子からは、不器用で人柄の良さそうな人物としか映らなかった。


(わざわざ捜して来たのね……律義なオヤジだこと)


軽く呆れながらも、そんなに悪い気はしなかったので、友紀は玄関へと向かい扉を開けた。


『あ、すみません。お出かけみたいで……本当にすみません、妻がどうしても持っていけって……』


玄関を開けると、門の前には1BOXカーが停まり、すっかり恐縮したように背中を丸めた男が、頭を下げながら友紀に話し掛けてきた。
その手には、ジャガ芋の一杯入った木箱が抱えられていた。



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